御本(中編)*クレナイメモリー*
□memory*04〔朝の憂鬱〕
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「お前もマヨラーなの?」
公園のベンチに並んで座る俺ら。
『ううん?私も坂田くんと同じ甘党だよ?』
「え?そうなの?んじゃ…お前の一番好きな甘いモン教えてくれ」
『私の一番好きな甘いモノは………坂田くんだよ?』
「マ…
「「マジかァァァア!!!!」」
ベシッ!!
『アンタ、“マジで”朝練遅刻だよ。』
頭ぶっ叩かれた衝撃に気付くと夜じゃなくて朝。
公園のベンチじゃなくて俺の部屋。
枕ガッシリ、ホールドしたまんま
「……マジか。」
ベッドの布団の中を足でモソモソ探って、足で摘まんで引きずり出した目覚まし時計みりゃ7時半。
つか、
「夢落ちかよ…。いや、もうもっかい寝て続き見てから行きゃいいんじゃねーの?コレ」
『…あそ。いいけど、居間に置きっぱのケータイ3回ぐらい鳴ってたわよ』
「あ?あー、どーせヅラ。」
『ふ〜ん。アンタ桂くんの着メロ…ぷふ(笑)aik○なの?(笑)』
バッ!!!!!!
布団ふっ飛ばして飛び起きたら
「んなわけあるかよッ!!ちょっ…んで、そん時持ってきてくんねーのっ!?ババァ、もう頭ボケてんじゃねぇの!?ビェクシッ!!」
パンイチで寒ぃじゃねーか。
『誰がババァじゃ!!お姉ちゃんじゃ!!アンタこそ寝惚けてないでとっとと下降りといで。ホットケーキ焼いてあっから。食いながら行けば。駅までならバイク使っていいよ。どっか停めといて』
「へいへい。あざーす」
『あたしのバナナオレ飲んだら殺すよ』
「飲まねーっつの」
起きて、パンイチにワイシャツ羽織って…
ベルト通しっぱなしのズボン穿いて
昨夜季紅に返して貰ったブレザー肩にかけて
ネクタイはブレザーのポケットに突っ込む
反対のポケットに靴下突っ込む
鞄、脇に挟んで
ワイシャツのボタンかけながら駆け足で階段降りて
「ケータイとホットケーキ取って」
『……ハイドーゾ』
冷蔵庫の前で靴下履く
まず姉貴からケータイ受け取って
『……甘えん坊か(呆)』
ホットケーキはダイレクトマウスで貰うだろ。
「頂ひまーふ。」
スマホ画面に指スライドさせてロック解除しながら
反対の手で冷蔵庫開けたら
「へ?ひょ、は?あんで俺のひひご牛乳消えへんろ!?モグモグ…“あかチャン”、飲んだのかよ!?」
『“あかチャン”も,食べながらしゃべんのもやめーい。お母さん飲んでたから』
「マジか…んだよ。あのババァ。最初からてめぇの分も買やいーじゃねぇか!!んじゃバナナオレ貰うわ」
『ちょっと!!だから飲んだら殺すって言ったじゃん!!名前書いたんだから!!』
バナナオレのバナナの上に“紅花”のギャル文字。
「汚ねぇから読めませーん。」
同じ女だっつーのに季紅と比べモンになんねーぐらいひでぇな(苦笑)
オレ飲みながら思い出してケータイに目を落とす。
ブッッッ!!!!
『汚ない!!』
思わず吹き出しちまったけどギリギリスマホはセーフ。
「ゴメン…俺、暫く“べっかチャン”恨むわ」
『はぁ!?なんでよ!!オレも全部飲ませてあげたじゃん!!こんなに優しいお姉様いないでしょーが!!ちょっ、銀時ー!?冷蔵庫拭いてけ!!コラーッ!!振られろバーカ!!…もゥッ!!』
…そんで振られたらマジで恨むけどー。
「行ってきまーす」