昔の
□人肌
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好きだとか愛してるとか
そんな言葉は一度ももらったことはない
ただなんとなく
抱きしめられたから抱き返した
そこから始まった
思いが詰まっているのか詰まっていないのか分からない、この関係
お互いにズルいよね
あたしは絶対にあなたのものにはなれない
あなたはあたしを欲しいとは言わない
あたしを独占してほしいという思いがないわけじゃない
欲しがったのは初めての時だけね
あの夜
突然抱きしめられた
驚いたけれど、人の温かさと聞こえてくる鼓動が心地よかった
そのせいか、抵抗する気がおきなくて
背中に回された腕に力がこもったとき
あたしはキスをされていた
次第に深くなるキスに
イヤでも感情は昂ぶっていく
「なんで抵抗しないんだよ」
自分からしておいて怒ったように聞いてきた彼
「…ごめん。あたし、自分からは止められない…」
「なんで」
「なんでって…必要とされてるようで嬉しいから…?」
「…なんだよ、それ。頭、おかしいんじゃねぇの?」
「そうなのかな?わかんないな」
そう言って、あたしは彼の背中に腕を回して抱き返し、胸に顔を寄せた。「だって、こうするのは気持ちいいよ。あったかいし…。
ねぇ、必要としてくれるの?…」
彼を見上げる
「…ホントにあんたバカなんじゃねぇの…」
乱暴な言い方なのに、それと違った表情の彼の顔が近づいた