Knife*
□砕けた甘い蜜 井×准
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俺は楽屋の真ん中にあるソファーに座ってしばらくボーっとした。
今日はどうしても家には帰りたくない気分だった。
特にやましいことはないんだけど、たまにそういうときがある。
今日はこの楽屋にでも泊まろうか、そんなことまで考えた。
けど、そんなことは不可能で俺はとりあえず着替えて荷物をまとめた。
すると、俺のカバンの上に一枚のメモ用紙が置いてあるのに気付いた。
”イノッチへ
今日はお疲れ様。泊まるとこは決まってる?
俺は深夜まで仕事だけど、それからなら俺の家に来る?
連絡待ってるよ。
准一”
俺は底抜けに優しい准一のその行動に嬉しくて
ボタボタ泣けてきた。腕で必死に涙を拭いて、准一に電話をかけた。
「もしもし?イノッチ?」
『おぉ。今日はありがとうね。励ましてくれて嬉しかった。』
「いやいやそれくらいならいつでもするよ。」
『ありがとう。んでさ、今日泊めてくれる?』
「・・・いいよ。おいでよ。そうだな11時には仕事終わるから
それまでどこかで暇でも潰せる?」
『うん。それは大丈夫。ありがとう。お願いね。』
「うん、じゃあ待っててね。俺仕事サササッと済ませてくるわ。」
『わかった。待ってるな、じゃあな。』
テレビ局を出た俺はとりあえず、
近くの本屋や喫茶店で時間を潰した。