Knife*

□二番でいいよ 准×健
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楽屋で僕は息を飲むような光景を見てしまった。

僕はドアの音を立てないようにしめて
来た道を戻ってしばらくロビーのソファーで
新聞紙を読むふりをした。

カメラさんや音声さんが横を平然と通る。
僕はドキドキが止まらなくてその人が間違って
僕らの楽屋に入っていかないか目で追ってしまう。

何にもしていないのに、
僕はとっても悪いことをした・・・
そんな風に思ってしまう。
あんなの、ちょっとダメでしょ。



「いのっちってそんなに締め付け良かったっけ?」

『お、岡田・・・やっぱいつ人来るか分かんないから!
んっあっ!あぁ・・・やめよう!ね?ね?』

「なんで?キスしてきたのはいのっちじゃん。」

『あんっ!あっ・・・はぁはぁ・・・。』


僕が見たのはいのっちと岡田の行為のシーン。
絶対に入ってたし、あれはドッキリとかじゃなかった。
新聞紙には手汗がついてしわしわになっていた。

『僕、これからあの二人とどう接していけばいいの・・・』

独り言がポツリとこぼれた。
とりあえず新聞紙をひたすら読むふりを続けた。
僕はただ忘れ物があったから、取りに行っただけ・・・。
それだけだから僕は何にも悪くない。



悪くない。悪くない!



「健君って新聞読むんだね〜。」

『おっ・・・』

「え?どうしたの?健君、汗相当出てるし顔赤いよ?」

『お、岡田。』

僕相当動揺してる・・・。だめだよ。ばれちゃう・・・。
岡田はこういう時敏感だから、ゼッタイ分かった。
どうしよう、どうしよう。



すると岡田は僕のおでこに手を持っていった。

『んっ!!な、なに!』

「何って熱はかってるんだよ。静かにしててよ。」

『へっ?う、うん。』

汗が全然止まらないよ・・・。
岡田の顔が凄い近い。ドキドキする。
あんなシーン見たら誰だってドキドキするよね・・・。
うん。そうだそうだ。

大丈夫、僕は大丈夫。
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