Knife*
□ストリッパー 剛×健
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「もしもし、剛君のお母さんですか?剛君は僕の家にいます。」
両腕が背中の後ろで異常なくらいロープで縛られている。
うっ血しているのか、痺れて腕の感覚がない。
健は笑顔で俺のケータイを使って、母親に電話している。
「あぁー2.3日連絡取れないと不安ですよね、分かります。
剛君が起きたら、注意しておきますね。大丈夫ですよ、ははは。」
俺の目の前には、昨日の夜の「犬ごっこ」の時、
四つん這いになって食べさせられた「サバの味噌煮」の缶詰。
思い出すだけで恥ずかしくて、やるせない気持ちになる。
一体俺は何時になったらここから抜け出せるのか。
電話を終えると、健は俺のケータイを
壁に向けて尋常じゃない強さでぶん投げた。
もう、壊れたような音しかしなくて、俺は諦めた。
健は俺の後ろにあるソファーに座ると、
起き上がれない俺の背中に足を乗せる。
「お母さんに、マネージャーさんに、良く分かんない人に・・・。
邪魔ばっかりしやがって、イライラするなぁ。」
『健、、、ほ、ほどいて。痛い。』
「絶対!絶対!いや!!!!」
健は発狂して、そばにあった空き缶をまた壁に投げる。
そして、俺の身体にのしかかると、首に手を添えてきた。
「黙れ!黙れ!!!!だまれ!!!」
『もう、意味わかんない・・・。殺せよ。疲れた。』
俺は目を閉じた。
「・・・死なせるわけないだろう。笑わせんな。」
健は、そう言うとぬるくなったワインを
俺の顔に容赦なくぶっかけて起きさせる。
「ずっと好き。初めて会ったあの日から。」