Knife*
□青い浴槽の箱 昌×井
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坂本君はとてもイライラしていて、貧乏ゆすりをしていた。
僕はさりげなく離れた距離でずっと無言で立っていた。
坂本君はお酒のペースが
結構早くてどんどん缶ビールを開けていた。
僕はそれをただぼんやりと見ていた。
『・・・もう、しんどいよな・・・。』
坂本君はビールをテーブルに置いて僕の方を見た。
僕は何のことか良く分からず、首を傾げた。
『もうおしまいにしよう。井ノ原。』
「ちょ、ちょっと待ってよ・・・。」
『もういいんだよ。帰って。』
坂本君は僕のバッグを持って玄関へ歩いていく。
僕は慌ててついて行った・・・。
『今までありがとう。
これからはビジネスパートナーとしてよろしく。』
僕は強引に部屋から追い出されてしまった。
しばらく呆然とドアの前で立ち尽くしていたら、
ドアの向こうで叫ぶ声と何かが割れたり落ちたりする音が響いてた。
怖くて、逃げたい気持ちと、心配で助けたい気持ちが、僕を襲った。
インターホンをひたすら押し続けても、ドアを叩き続けても
ドアは開くことはなくて、僕はドアのそばを離れられずにいた。