夢本

□第一話
1ページ/3ページ




私の名前は山田花子。
年齢は17歳。


極々一般的な女子高生・・・だと思う。
平凡が大好きで、平凡以上は受け付けていない。以下もだけど。
いつも、目立たないように行動して親や先生の言うことは守り、素直に実行していたし、嫌なことは華麗にスルーしてきた。面倒事は厄介だから。
水の中にいる魚のように、スルスルと上手く泳いで生活してきた私。それが今、目の前の状況によって硝子の如く粉々に粉砕されてしまったのだ。


なにこれ・・・?ここはどこ・・・?


徐々に頭の中が白くなり、顔からは血の気がスゥーと抜けていくような感じがした。
目の前には、大勢の人、人。
変な三角帽を被り、真っ黒なローブを着用している。
そして、天井に視線をやれば綺麗に炎を宿した蝋燭が浮かんで・・・え?浮かんでる?
目を幾ら擦っても、頬を抓っても、目の前の状況と天井の摩訶不思議な状態はなおることはない。
私は遂におかしくなってしまったのか?
嫌々、絶対違う。だって、平凡をこよなく愛する私が、こんなこと・・・


「who are you?」


呆然として立ち尽くす私に、だれかが話しかけながら肩をソッと叩いてきた。

突然の事にビックリし肩を一瞬震わせて振り向くと、心配そうに此方を伺う髭の長い老人が一人。
後方では、厳つい顔をした女性と眉間に皺を寄せた男性が椅子に座りながら此方を伺うように見ていた。


なんだか、怖い。
私が目をキョロキョロとしていればまた、優しくてでもどこか威厳のある声がした。


「who are you?」


英語だ。
今思ったけど、周りの人皆鼻が高い。ゴールドとかブラウンとか色んな髪の毛の色がいる。
そんな、まさか・・・
周りには平たい顔の日本人が私以外1人もいない。皆堀深い。うらやまし・・・ではなく、これは一体どういうことだ。


私は意味がわからず、困惑な顔で老人を見る。
何の言葉を発したらいいかわからない・・・その前に英語力がない私は目の前にいる外国人の老人にどう話せばいいかわからない。


「・・・あ、あの・・・」


頑張って蚊のような声を振り絞ってだしたが、これは英語ではなく日本語。
周りは不審な目、好奇な目様々な視線が私の体を貫く。
遂にこの状況に耐えきれず、目には涙が徐々に溜まって、零れ落ちていってしまった。
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!
ガクガクと震える膝。
私の頭はパニック状態に落ちいってしまった。

すると、目の前の老人は何かを見かねてか懐から木で出来た細い棒を取り出した。
そして、意味の分からない言葉をはっしてそれを振れば先端から白い霧が出てくる。
それに目を丸くし見ていると、私の体をゆっくりと温かくそれは包み込んだ。
何これ?
瞼を一つ閉じれば、白い霧は消えていて、変わりに優しく微笑んだ老人がいた。


「儂の言葉はわかるかの?」


母国の言葉が聞こえてきて、私は更に目を丸くした。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ