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□価値
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「…C太。何で僕達しか居ないんだろう」
オレとA弥は旧校舎の教室で30分待っていたが、B子とD音は現れる事は無かった。しんと静まり返った薄暗い廊下は、如何にも不気味な雰囲気を醸し出していた。
「…さぁ?二人共帰ったのかな…」
なんて言ったが、実は二人には嘘の報告をしたのだ。
D音には“今日は集まりは無い”と伝え、B子には“D音に内緒で、後から旧校舎に来い”と伝えた。勿論、この嘘にはきちんと意味が有る。
D音は特に必用では無いが、B子は十分に必要な存在であるのだ。必要不可欠とも言えるだろう。
D音はB子にべったりだから、B子と一緒に帰るという事が予想されたので、B子からD音に“先に帰ってくれ”と言うようにと指示をした。
沈黙の中、口火を切ったのはA弥だった。
「……ねぇ、…噂って」
オレが何時まで経っても言おうとしないので、A弥はそわそわして落ち着かない様だった。大丈夫、今に分かるから。
「あのね、A弥。この噂はオレとA弥で実行したいと思うんだ。…どう思う?」
不信そうな瞳でオレを見るA弥を押し返す様に、見詰め返す。A弥は『は?』とでも言いたげにオレを見ている。
「実行、…って」
ずっと変わらずにこやかなオレと裏腹に、A弥は怪しげに聞き返した。

「…何を、するのさ」
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