酷く子どもらしい大人







「……あのぉ、なんですかディーノさん」

 家にやっと着いた。最近、学校は落ち着かない。まだ皆にダメツナだって言われてた頃のほうが落ち着いて行動できた。

 家は煩いけど、まぁ学校よりはいい。とくに自室。リボーンが寝てるときとかは、騒がなければ静かなのだ。

 なのに、だ。自室にスキップしながら入った瞬間、抱きしめられた。むがっ、と妙なうめき声を上げながら抵抗したら、ディーノさんだったというわけだ。そこで、初めにもどる。

「……ツナァ、会いたかったぁ」

 妙に甘えた声でそういうもんだから、思わずヘラッと頬を緩ませる。

「オレもです。二ヶ月ぶりですよね」

 ディーノさんは一度オレを開放すると、すぐにまた抱きしめてきた。

「あー、やべぇ。すげぇ癒される」

 首筋にキスを落とされて、思わず口角が引き攣る。

「ディ、ディーノさん?」

「んー、ツナなんかいい匂いするなぁ」

 いつもスキンシップは激しい。だけど、なんか今日は変だ。激しすぎる。

「……ディーノさん」

「ん?」

「なんか、あったんですか?」

 表情にも態度にも変化は出なかった。でも、ディーノさんの目は明らかに動揺していた。

「なんか、あったんですね?」

 金色の瞳が、瞼が閉じて見えなくなった。

「……ツナって、やっぱすげぇな。なんでも見透かす」

 過度なスキンシップは、人肌を求めてる証拠。

「ロマーリオが重症なんだよ。しかも、俺の不注意のせいで」

 びっくりした。

「俺を庇って、撃たれた」

 ディーノさんが力強く抱きしめてくる。耳元に息がかかる。

「俺、どうしたらいいんだろ」

 ディーノさんの切羽詰まった声に思わず背中に腕をまわして、さすった。

「大丈夫ですよ。誰だって不注意になることもあります。今回は誰も死ななかったんです。次、活かせばいいんですよ」

 失敗を繰り返さないで。ディーノさんが、短く息を吐いた。

「……うん」

 酷く子どもっぽく頷いて、俺から離れた。

 金色の瞳はもう隠されることなく、輝いていた。

End





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