枝が折れる音がした。すぐに身を潜めている穴から顔を出し、音がした方向に銃を向ける。
「……ここにボンゴレが居るって本当なのか?」
「ああ。アイツからの情報だから間違いねぇよ」
金髪の男と黒髪の男が穴に近づいてくる。
「……ボンゴレ、なんで逃げたんだろ」
「気づいたんじゃねぇの」
黒髪の男は興味がないのか適当に返事をした。金髪の男は夜の森が怖いのかあたりをキョロキョロしながらこちらに向かってくる。頭を動かしているせいで的が決まらない。仕方なく金髪は諦めて黒髪の男の頭を狙う。そのまま迷うことなく引き金を引いた。
「ぎ、ぎゃああ!」
黒髪の男は白目を剥きながら倒れた。即死だ。すぐに悲鳴を上げて混乱している金髪の男の足を狙って撃つ。
「……い゛っ!」
「よいしょっと」
身体がすっぽり埋まるほど深い穴から出ると、金髪の男は足の痛みを忘れたのかオレを見ながらポカンとしている。
「ボンゴレ十代目は死んだ。十一代目の座はオレをお前達に売った雲雀恭弥に渡す」
「……ボン、ゴレ」
「もうオレはこの世に存在しない。オレは死んだ」
沢田綱吉は死んだ。
「雲雀恭弥にすべてを伝えろ」
アンタが欲しかった名誉も財産も。全部いらない。人を売ってまで欲しいものじゃないって、いつか気づくだろうけど、もうオレには関係ない。
使いたいように使えばいい。
「は、はいッ」
「いい返事だ」
そういって、微笑んだ。
この日が非日常への終止符の日となった。
End