明日、この町をでる。寂しい。だって、京子ちゃんとかハルとかに会えなくなるし、母さんのご飯も一生食べられなくなるかもしれない。
一番は、平凡じゃなくなることが寂しいんだけど。でも、それ以上に期待もある。
山本、獄寺くん、雲雀さん、骸、クローム、お兄さん、ランボ、リボーン、ディーノさん。まだまだいっぱいのひとがイタリア行きについてきてくれる。不安なんてない。
イタリア語も完璧にマスターしたし、十代目になる準備も整った。
「……もう、並盛に戻ってくることはないでしょうね」
「そうだね」
一番、名残惜しいのは雲雀さんだろう。並盛高校の屋上から、並盛を見渡す。
「もしかしたら、日本に戻ってくることもなくなるかもしれませんね」
「そうだね」
オレンジ色に染まる町を見ながら、雲雀さんはぼんやりしていた。
「……いいんですか?」
最終確認。
獄寺くんに山本、骸にクローム、お兄さんにランボ。みんなに聞いた質問だった。みんなは、快く承諾してくれた。だけど、この人が最後まで並盛から離れるのを嫌がっていた。だから、怖い。
「……今更だね」
「すいません」
「今更なのに、結構揺れるよ」
揺れるんだ。
雲雀さんが、一番嫌がった。絶対に並盛から離れたくないと叫んでいたのを覚えている。駄々こねた大きな子どもだった。
「……揺れるけど、僕は君についていくって決めたからね。行くよ、君と一緒にイタリアに」
目尻が熱くなる。ダメだ、やっぱりオレ涙もろいや。
「……ありがとう、ございます」
「うん」
雲雀さんが、頭をポンポンと優しく撫でてくれて、涙が零れた。
END