翌日、学校について早々不機嫌になった。
「は?」
骸は聞き間違えだと願いながら、聞き返す。
「だから、ツナのヤツさぁ。一昨日、部活行くときに見かけて、んで部活帰りにも見たのな。なんか、あったのか?」
同じ並高に通う山本武の言葉に絶句する。
「……部活動の時間は何時間ぐらいですか?」
「三時間だけど、行きと帰りをあわせたら、四時間ぐらい」
骸は瞬間舌打ちをした。
「……綱吉くん、僕に三十分ぐらいしか待たなかったと行っていましたが?」
「気遣われたんじゃねぇの?」
「……なんで」
意味がわからない。恋人になんで気を遣って嘘をつく?
だんだん腹が立ってきた骸に山本は苦笑交じりに言った。
「ムード壊したくなかったんじゃねぇの?」
「……ムード?」
「だってすっげぇエロイムードでさ、宿題まだだった?とか聞かれて、図星でも言えるわけねぇじゃん。それと同じじゃね?」
たとえの意味と昨日の雰囲気は違ったけれど、なんとなく分かった気がする。
曖昧に頷いた骸を見かねたのかまた質問をされた。
「骸。お前、右目が痛いとき言うか?」
「言いませんよ。心配かけるじゃないですか」
「それと同じだって」
ああ、なるほどと頷いて慌てて後ろを振り向く。
そこには綱吉の姿があって骸はあんぐりと口を開けた。
「嘘ついたことは謝るけど、骸だって嘘ついてるじゃん。まぁ、お互い様だからさ、見逃してよ」
ヘラッと笑う綱吉の姿に骸は何かを言いかけて、口を閉ざす。
「じゃあね、骸。今日は一緒に帰ろうね」
にっこりと微笑んだ綱吉を見て、ええ、と頷いて骸も嬉しそうに笑った。
END