ハンバーガーにがっつく雲雀さんを見て、身体を引かせる。
怖いよ、ひばりさん。なにその目。
眼を細めてがっつく雲雀さんの姿が、どこかの兄ちゃんをボッコボコにするときと同じぐらい嬉しそうだ。
「……ンッ、綱吉。食べないの?」
「た、食べますよ」
赤の背景にMと黄色で書かれている手で持ちやすい厚紙のパックを持って、そこからへにゃんとしなれているポテトを取った。そのままがぶりと食べると、ひばりさんは変な顔をしていた。
「……そんなふにゃふにゃの食べて、おいしいの?」
「オレはふにゃってしてるほうが好きなんですけど、雲雀さんは固いのが好きなんですね」
「ふにゃってしてるほうが好きだなんて……まるで君みたいだよね」
「は?」
なんだか失礼な発言を聞いて、思わず「は?」なんて聞いてしまった。うわぁと言った瞬間慌てたけど、雲雀さんがまだ言いたそうだったから黙った。
「へなへなしてるじゃん、君も。あの、ディーノだっけ? 赤ん坊がよくへなちょことか言ってるけど、あの言葉は君のためにあるんじゃないのかい?」
ああ、なんだか話がずれてきたぞ。
雲雀さんがまだなんか言っているが、ふにゃっとしたポテトを口に何度も運びながら黙々と食べているオレをみて、ようやく雲雀さんは静かになった。
いつになく饒舌な雲雀さんにチラッと視線をやると、ばっちりと眼が合い身体が硬直した。
「……気を悪くしたなら、謝るよ」
「いや、だ、大丈夫です」
ぎこちなく笑う。
実はこんな会話ばっかり続けているが、これは初デートである。一昨日に告白されて、付き合うことになってからの初めてのデートだ。雲雀さんもなんだかんが言って、緊張しているみたいだし、まぁオレもあんまり人のことは言えないけど緊張している。
「映画、観る?」
首を振る。そんな気分じゃない。
「カラオケ? ゲームセンター?」
ゲーセンと言わない雲雀さんに思わず声を出して笑った。雲雀さんはまたダンマリとして、ぽつりと言った。
「僕の家、来る?」
頭の中が途端にピンク色になった。あんなことやそんなことや……。真っ赤になったオレを見て、雲雀さんは苦笑交じりに言った。
「何もしないから」
とか言うヤツに限って何かすんだ、ダメツナ。分かったか? と言っていたリボーンを思い出して慌てて首を振る。
「こ、今回は遠慮します」
曖昧に笑うと、雲雀さんは残念そうに「そう」と呟いてストローを口に運んでいる。
「今度行きますから、ね?」
オレがそう言った後に雲雀さんが咽たのを見て、オレは慌ててハンカチを差し出した。
END