V







「 お前は自分を過小評価しすぎだ」

あれは、リボーンに言われた言葉だったと思う。あのときの自分ほど、ネガティブだったのは初めてじゃないだろうか。

山本は親友だ。それ以下の関係でもなければ、それ以上の関係でもない。親友は親友だ。

だから、あの日の夢が怖かったのだ。まるで自分に扮する山本に支配されてるような……妙な夢。夢というのは次第に薄れるものだ。

しかし、あの夢は頑固な汚れのようだった。しかも、汚れだというのに、落としてはならない罪悪感に駆られるのだ。

もしかして、山本も同じ夢を見たのではないか、と。自分の意思でオレを支配したのではないのか、と。

不安が尽きることはない。山本は親友だ。しかし、その言葉一つで自分たちの関係を表していいのだろうか?

「ツナ、どうした?」

ギクリと目を見開き、慌てて首を振る。言ってはいけない。事実確認をしてはならない。

「ちょっと寝不足なんだ」

「おいおい、大丈夫かよ? 保健室で休んだほうがいいんじゃね? 顔色悪すぎ」



「うん、そうしようかな」

あまりに心配されて、心が軽くなる。やっぱり山本は親友だ。酷いことなんて、してくる人間ではない。危害を与える人間ではないのだ。

「ゆっくり休めよ」


ねぇ、山本。

オレは信じるよ。山本がそんなことする人間じゃないって。だから……教えて。山本が、オレに何を隠してるのか。オレも教えるから。

だから、教えて。

山本が何故オレに扮するのか―――。






[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ