パラレル
□エピローグU 前編
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シャー まるで、薄い布を裂くような音がしたかと思うと
「・・・へぇ、やるじゃん。」
桃城が、先程裂いた所からは、すっかり見慣れた訓練所の赤い屋根が、見え隠れしていた。
「お前の武器、持ってこいよ。」
壁に立て掛けてあった、彼の武器―――ハサミのような形をしたもの。大きさは、越前と同じくらい。二つを繋げるネジをはずしたら、ナイフにもできる代物―――を指差す。
「いいよ・・・」
ガチャ 重そうな音をたたせて(まあ、持つところも鉄だし、切るところも鉄だから、重いだろう。)、刃をしまっていた革の袋を取り去り、桃城の隣に来る。
「いくぜ。」
裂いたところを、思いっきり両手で広げた。
そこに出来たのは、人が余裕に入れる、大きな穴だった。
「行こうか。」
「・・・ッス」
そう言って、二人はその穴を通り、訓練所へ向かったのだった――――。