パラレル

□エピローグU 前編
5ページ/5ページ


シャー まるで、薄い布を裂くような音がしたかと思うと

「・・・へぇ、やるじゃん。」

桃城が、先程裂いた所からは、すっかり見慣れた訓練所の赤い屋根が、見え隠れしていた。

「お前の武器、持ってこいよ。」

壁に立て掛けてあった、彼の武器―――ハサミのような形をしたもの。大きさは、越前と同じくらい。二つを繋げるネジをはずしたら、ナイフにもできる代物―――を指差す。

「いいよ・・・」

ガチャ 重そうな音をたたせて(まあ、持つところも鉄だし、切るところも鉄だから、重いだろう。)、刃をしまっていた革の袋を取り去り、桃城の隣に来る。

「いくぜ。」

裂いたところを、思いっきり両手で広げた。

そこに出来たのは、人が余裕に入れる、大きな穴だった。

「行こうか。」

「・・・ッス」

そう言って、二人はその穴を通り、訓練所へ向かったのだった――――。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ