哀歓善戦

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「それはいいが…、ゴールド。なぜイエローと行動しなかった?原則2人で行動しろと言ったはずだ。」

「それは…」


ゴールドは思わず返答につまる。


「余裕がなかったんでしょ?イエローに伝える余裕が。」


イミテのフォローにゴールドはほっとした様子で「そうッス!」と答えた。

クリスから聞き出したいことがあった…と本当のことを言ったら、同時に彼女の過去のことも告げなければいけない気がしていたから。

自分が彼女のことを第三者に易々と話していいのか、引っかかる部分があったのだ。


「だいたい、イエロー。お前も見張りの最中に寝るんじゃない。」

「は、はい…!すいません。」


しゅんと俯くイエロー。

それを見てレッドがまあまあ、とグリーンをなだめにはいる。


「イエローも反省してるし、次から気をつけるって。」

「お前は甘すぎる。取り返しがつかなくなってからじゃ遅いんだぞ。」

「そういうグリーンは厳しすぎだ。一回言えばじゅうぶんだろ。子供じゃないんだし。」

「…どうだかな。実際、子供っぽいやつもいる。」


グリーンはチラリとゴールドに目を向けて言った。


「!グリーン先輩、今俺のほう見ながら言ったッスよね!?」

「…とがめられるのを恐れてるのかは知らないが、お前、何か隠してるだろう。」


グリーンは目を伏せたままゴールドに向けて言う。


「少し考えれば、情報は全員に知らせたことがいいことぐらい分かると思うがな。お前がそうした態度をとっていることが幼稚な証拠だ。」

「(…相変わらず鋭いよなあ、この人…)」


グリーンが言っているのはおそらくクリスのことだろう。

内容はどうだかは知らないが、隠し事をしていること事態には気づいているようだ。


ゴールドは話すべきか軽く悩む。


すると、イミテが呆れたようにため息をついた。


「イミテさん…?」

「まったく…。もっと穏やかな話し方ができないの、グリーン。」

「…。」


「見張りのことはレッドの言うとおり。これ以上攻めたからって、何の意味もないでしょ。」


イミテは腰に手を当てて、続ける。


「これからも見張りが必要なときは今まで通り2人で行動。念のため、私とレッドとグリーンのうち必ず誰か1人は見張りにはいる。いいでしょ、それで。」


イミテがこうして一方的に決めて場をまとめようとするのは珍しい。

それほど呆れたのだろうか。


イミテの提案は特に問題もなかったため、レッドは少し呆然としながらも「…おう。」と返した。

そしてゴールドもまた、不思議そうにそんなイミテを見ていた。













次の日の朝。

昨晩あんなことがあったのだ。

ナツメ達ももうシオンタワーには戻ってこないだろう、とふんで、彼らはまた旅を再開する。

次に目指すのはグレンタウンへの船がでている町…つまり、ブルー達が向かった町だ。


「ブルーさん達、まだ出航してないといいんですけど…。」

「昨日の今日だし、まだ町にも着いてないんじゃないか?」

「いや、次の町はすぐに着くはずッスよ。そんなに距離離れてないんで。」

「え、地図でみるとけっこう離れてるぞ。」

「百聞は一見にしかずってやつッスよ。あ、ほら。見えてきた。」

「え!?」


驚いてイエローが声をあげる。

目の前に本当に町があったのだ。



そこはちょうどクチバシティを一回り小さくしたような港町。

しかし小さいながらも栄えているらしく、お洒落な店がたくさんあった。



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