哀歓善戦

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時代は中世。
舞台は遠いどこかにある国。

そこに住む民の中に、ごく少数だが、“能力者”と呼ばれるものがいた。

能力者とは、火・水・草などの自然に由来した特別な力が使える者のこと。

彼らは自分に適した武器を媒介とすることで初めてその能力を発揮できる。




能力者達は古来から「特別な者」「神に仕えるもの」として人々に褒めたたえられてきた。

能力者達もその期待に応えるかのように、その手で、その能力で、その力で、民を守りぬいてきた。

民は能力者に感謝し、優遇し、崇拝するものまでいた。




しかし、人間というものは欲張りで嫉妬深い生き物だということを忘れてはいけない。

民の中には当然、能力者達が優遇されることを疎ましく感じている者もいたのだ。



いつからか、こんな噂が流れ始めた。

「強大すぎる力はいつか我々に被害を及ぼす」
「このままでは武力で支配されて下僕にされてしまう」


民はそれをうのみにし、彼らを恐れた。




そして「神聖な者」とされてきた能力者は、一変して「強大な力をもつ化け物」と称されるようになってしまったのだ。




噂が国全体に広がり民が恐怖で震え上がった頃、困りはてた政府は能力者の追放を始めた。

それは能力者を捕まえたものには褒美を与え、かくまったものにはバツを与えるというものだった。




追放された能力者達は命を奪われない変わりに、生涯服従を誓わされ強制的に軍隊や王の守護者にさせられた。

そう、生涯ずっと―…。





見た目は同じ
考え方も同じ

ただほんの少し神から不思議な能力を授かっただけ


なぜ、自由を奪われなければいけない?
なぜ、恐れられなければいけない?



不思議で不思議で
たまらない





こんなおかしな世界で
一体、何を支えに生きろというんだろう?



全てが分からなくなって
何も考えられなくなった時


誰かがこう、ささやいた







『悲しみと喜びが
交錯するこの世界で

自分の全力を
出し尽くしてみろ


そうすれば
いつかきっと

永遠の幸福が手に入る』











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