哀歓善戦

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「その情報は古いわ。確かに北に行って…この町にいたみたいだけど、すぐにグレンタウンに行ったらしいの。」

「え……。」

「だからこれからあたし達はグレンタウンに向かうわ。海をこえるから、時間かかると思うけど…。」

「?ブルーさんの能力なら海も操れるんじゃないんですか?」


ブルーは水の能力者。

確かに一見簡単に操れそうなのだが…。


「残念だけど、あたしが操れるのは“水”だけなの。海は潮水だから無理よ。塩分のない水の部分を集めるのはできるけど…ほんの微量なのよね。」

「そうなんですか…。」



なかなか難しいんだな、とイエローは目を見開く。



「姉さん、そろそろ行かないと。……早くコイツからも離れたいし。」


シルバーがゴールドの方をあからさまにちらりと見て言った。


「ほんとムカつく奴だな、お前!」

「こっちのセリフだ。」


またも喧嘩がおこりそうな雰囲気がただよい、みかねたイミテがシルバーに話しかけた。



「シルバー。平気?見張りしてたから寝てないんでしょう?」

「これぐらい問題ない。」

「ならいいけど…。念のためこれ持って行って。」


そう言ってイミテは黒いハンカチで何かを包んである何かを彼に手渡した。



「疲労回復作用がある茶葉。見張りしてくれたお礼。あ、日光に直接当てないようにね。」

「……ああ。もらっとく。」


それはイミテが趣味の範囲でブレンドしたもの。

シルバーがポケットにしまったのを見て、イミテは微笑んだ。


「……//」


するとシルバーの顔はほんのりと赤く色づく。

イミテは特にそれに気づかず、ブルーへと視線を戻した。



「ブルーもありがとう。忙しいのに。」

「ええ。感謝しなさいよ。……じゃあね!」


ブルーはパチリとウインクをしながら手を振ると、シルバーと一緒に歩き出す。



「……ゴールド。」

「だってムカつくんスもん!」


ゴールドがその背中に向けて、あっかんべーとしているとも知らずに。











「俺達も宿には泊まらないほうがいい。ブルーのせいで警戒心が強くなってるから、疑われるだろう。」

「僕、この町の雰囲気怖いからそっちのほうがいいです。」


イエローはホッと胸をなで下ろす。




「じゃあまた小屋作ろうか?」

「ああ。近くに森があったから、その中に作ってくれ。」

「うん、分かった。」


グリーンはイミテにそう言うと、次いでゴールドに目を向けた。


「ゴールドは、薪を集めろ。」

「俺、修行したいんスけど。」

「食事抜きでもいいなら勝手にすればいい。」

「………。」


ゴールドはふくれっ面になりながらも、薪を集めるために歩きだした。

相変わらずこの2人の仲は改善していないらしい。



そして仲が改善していないと言えば…


「イエロー。」

「は、はい!?」


急にグリーンに名前を呼ばれて、イエローは声が上擦った。

そう、この2人も相変わらずぎくしゃくしていたのだ。


と言っても、イエローが一方的に緊張しているだけだが。


そんな様子をみたイミテはくすっと笑う。


「イエロー、グリーンが怖い?」

「い、いえ、その…、」


しどろもどろになるイエロー。

どうやら図星らしい。


「あーあ。グリーンがあんなこと言うからだぜ、きっと。」

「あんなこと…?」


レッドの言葉に、グリーンは眉間にシワをよせて聞き返す。



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