哀歓善戦

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「昨日、教会なんてくだらないって言ったでしょ?イエロー、傷ついてたんだよ?」

「イミテさん…!」


イミテが事実を告げるとイエローはまた慌てだした。


「……本当なのか?」

「え…?」

「傷ついたって…。」


グリーンは少し目線をはずして、気まずそうに聞いた。


「う……あ……、はい……。」


こうなってしまったらもう引き返せない。

イエローは観念して答えた。


そしてそれを聞いたグリーンは、さらに気まずそうな顔になり……。



「それは…その…、……悪かった。」


言葉に詰まりながら謝った。


昨日のグリーンの発言は、ただ自分の思ったことを言っただけであり、イエローを非難しようと言った訳ではない。

それ故、まさかイエローが気にしようとは思ってもみなかったのだ。


……言いかえれば、イエローがそんなことで傷つくほど繊細で、しかも言い返せないほど弱いと思っていなかったのだろう。



「え…!?」


そして、まさか謝られると思っていなかったイエローは、驚いて顔をあげた。

イエローにとってグリーンは、いつでも気を張っていて周りが近寄りがたくなるぐらいの信念と自尊心を持ち合わせている…そんなイメージがあった。

そんな彼が自分が傷ついていたと知っただけで、こうしてわざわざ謝ってくれたのだ。


素直に嬉しかった。




「なんだ、その反応。」

「あ、いえ…す、すいません…。」


なぜか思わずイエローまで謝って、変な空気が流れる。


そんな2人の様子を見て、レッドとイミテは顔を見合わせて微笑んだ。




グリーンとイエローはまだお互いの性格をよく知らないからぎくしゃくしているだけだ。

時間をかければきっと、分かり合える。

いずれ、いい仲間になれる。



―……レッドとイミテ、そしてグリーンがそうだったように







「グリーン。早くしないと日が暮れるぞ。」

「…ああ。…食糧は昨日買ったものがあるが、なるべく温存したいから、イエローとレッドで何か探してきてきれ。」

「分かった。イエロー、行こうぜ。」

「あ、はい!」


イエローは元気よく返事をして、レッドの後をついて歩き出した。



「ってことは、グリーンは見張り?」


イミテが聞けば、グリーンはこくりと頷いた。


「いつナツメが戻ってくるか分からないからな。」

「1人で大丈夫?私も小屋作ったら行くよ。」

「いや、いい。」


その返事にイミテは顔をしかめた。


「……でも、前みたいに操られたら手も足もでないでしょ?」

「……。」

「原則2人で行動したほうがいいと思う。」


しばしの沈黙の後、グリーンは「そうだな。」と言った。

それを見てイミテは穏やかな表情を見せる。



「見張りのことレッド達にも言っとくね。」

「ああ、頼む。」


グリーンはそう言って、シオンタワーのほうに歩き出す。

彼の後ろ姿を見て、イミテは思った。



イエローもゴールドも、きっとグリーンのことを勘違いしているんだろうな……と。


グリーンは頭がよく、そしてしっかりと芯をもっている。

故に自然と皆のまとめ役的な立ち入ちになってしまうのだ。


それを、どうやらゴールドは自分勝手ととらえているらしい。


しかし、レッドとイミテにしてみれば、それはすごく有り難いことで、不可解なことがあれば今みたいにちゃんと彼に伝えるし、そして彼もそれを聞いてくれる。


何より、グリーンは本当は、仲間思いの優しい人なのだ。


まあ、少しストレートに言い過ぎるところもあるが…。



「(早く、皆が分かり合える日がくればいいのに…)」


イミテは心の中で小さくため息をつき、自分の役割を実行するため、森の中へと足を進めた。



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