哀歓善戦

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ブルーが目を覚ましたのは夜中だった。


「…。」


そこは見知らぬ薄暗い部屋で。

ブルーはゆっくりと辺りを見回す。

すると、自分が寝ているベッドの端に寄りかかるように眠っているイミテと、床に丸まって眠っているイエローがいた。


「(アタシ…)」


徐々に記憶がよみがえる。

グレンタウンに行くためにシルバーと港へ船の出航予定を確認しに行ったら、貨物船しか出ていないと言われた。

しかも出航は明後日らしく、次の日の深夜、貨物船に忍びこむことに決め、その日は町外れの林に野宿して…

そう、たしか翌日の昼間、そろそろ準備をしようと船着き場に向かっている途中だった。

見覚えのない1人の男が現れたのは。


「(そいつは…なぜかアタシ達のことを知っていた。)」



“水の能力者と闇の能力者だな”

“忠告しにきた。お前らの力量では仮面の男は倒せない”


見下した言い方だったけど、なぜか敵意は感じられなくて。


“アンタ、いったい…”


ブルーがそう聞こうとした直後、男を敵だと見なしたシルバーが攻撃をしかけた。

男は…彼らのことを知ってるだけあって、万全な対策をしていたらしく、少しも慌てる様子なく鏡を取り出して闇の能力を反射させた。


「(そっか。あのとき、思わず身体が動いたんだったわ…)」


“!シルバー!避けて!!”

ブルーはとっさにシルバーを突き飛ばして…、結果シルバーは無事だったが、反射した攻撃が全てブルーに集中した。

とてつもない勢いで、身体が後ろへととばされて…、


”姉さん!姉さん!!”


シルバーの必死な叫びと背中に感じた強い衝撃を最後に、記憶がない。

おそらくそこで意識を失ってしまったのだろう。



「(今のこの状況からして、イミテ達が助けてくれたのかしら。シルバーは…)」


「起きてたんだ。」


いろいろと自分で状況を整理していると、いつの間にか起きたらしいイミテが声をかけてきた。

眠いのか疲れがたまっているのか、そのまぶたはやや重そうに開かれている。


「ええ。少し前に。」

「覚えてる?何があったか。」

「途中までなら…。ねえ、シルバーはどこ?無事なの?」


「大丈夫。怪我はしてない。」と、イミテは落ち着いた口調でブルーに言った。


「ブルーは?痛むところとかない?」

「特にないわ。」

「イエローが小さい傷治してくれたおかげかな。あとでお礼言って。」

「やっぱりアンタ達が助けてくれたの…?」


イミテはその問いにただ笑みを返して、そして言った。


「とりあえず、説明しとくよ。現状を。」










早朝。

まだ辺りがほんのりと薄暗いぐらい時間帯。

レッド、イミテ、グリーン、イエロー、ブルー、ゴールド…そしてゴールドに背負われたシルバーの計7人は宿を出て港に向かって歩いていた。


「くっそ!何で俺が運ばなきゃならねえんだ…!」


ゴールドはぶつぶつと文句を言いながらも、負担がかからないようしっかりとシルバーを背負っている。


「ありがとう。ゴールドってホント頼りになるわあ!」

「ははは!これぐらいお安いご用ッスよ、ブルー先輩!」

「(こーゆー子はちょっともちあげるだけで言うこと聞いてくれるから楽ね。)」


オホホっと、ブルーが笑みをうかべる。


「ブルー先輩は身体、大丈夫なんスか?なんなら俺が先輩のこともおんぶして、」

「遠慮しとくわ。」

「…そうッスか。」


ブルーにばっさりと断られたゴールドは、とぼとぼと歩き出す。



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