哀歓善戦

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レッドとグリーンがイミテ達を探しに来てから丁度1時間ほどたったとき。

ゴールドが落ち着いたのを見計らって、イミテが優しく「帰ろうか。皆心配してるよ。」と声をかけたのをきっかけに戻ることにした。





「あれ…?明かりがついてる。」


イミテもゴールドも、皆もう休んでいると思っていたが、家の明かりはばっちりとついていた。


「うっわ。これ、皆俺のこと心配して待ってたってパターンッスかね?やっべー…。」


すっかりいつものテンションに戻ったゴールドに対して、イミテは優しい笑みを浮かべると、ゆっくりと扉を開ける。


するとダダッと走る音が聞こえてきて、現れたのはイエローだった。


「おかえりなさい!イミテさんも、ゴールドさんも!帰りが遅いから心配したんですよ。」

「イエロー。寝ないで待っててくれたの?ありがとう。」

「悪いッスねー。遅くなっちまって。」

「言いワケはあとで聞きます。とにかく上がってください。皆さん心配してたんですから。」


2人が帰ってきたことが嬉しいのだろう。

イエローはにこっと笑ってイミテの手を取るとそのまま歩き出して、奥へ進むように促す。


リビングに向かうと、レッド、グリーン、ブルー、シルバー…と、誰1人かけることなくそろっていた。



「やっと帰って来たのね。アンタ達。遅いわよ。一体今まで何してたの?」

「この辺りの空気すげぇ気持ちいいから、つい寝ちまったんスよ!」


ゴールドはガシガシと頭をかきながら言う。

実はここに着く前に「理由言いたくないならそんなようなこと言ってごまかせばいいから。」とイミテに促されていたのだ。


「ゴールドさんらしいですね。」

「イエロー!呑気に笑ってる場合じゃないわよ!イミテ、アンタもゴールドのこと探しに行ったくせに一緒になって寝てたわけ?」

「うん。まあ。」


イミテもそんな曖昧な返事を返して笑う。

するとブルーははあ…と深いため息をついた。


「全く…仮にもゴールドは男なのよ?そんな無防備じゃあ襲われても自己責任だからね。」

「ううん。ゴールドは大丈夫。」

「…イミテせんぱーい。即答って…俺、男として見られてないってことッスか?信頼されてるってことッスか?かなり複雑なんスけど。」


そんな話しをしていると、レッドが至って穏やかな表情でゴールドに言った。


「ゴールド。皆お前のこと心配してたんだからな。」

「…そうッスね。心配かけて、すいませんでした!」


レッドの言葉を素直に聞き、ゴールドはバッと頭を下げた。


でも、次に顔を上げたときには、もうイタズラをたくらんでいる子供のような表情になっていて…


「それにしてもシルバーまで心配して起きてるとはな!お前、意外と俺のこと好きなの?」

「ふざけるな。お前への興味なんてこれっぽっちもない。今後の作戦をたてるために起きていただけだ。」

「作戦、ね…」


イミテが意味深にポツリとつぶやいたのを機に、ブルーが「さて…」とつぶやく。


「皆そろったことだし改めて言うわ。…本当に、ありがとう。」


ブルーは皆の顔をぐるりと見回して、心底嬉しそうな顔で言う。



「おう。それで、ブルーとシルバーはこれからどうするんだ?」

「うーん、晴れて自由の身になったんだから、やり残したこと片っ端からやっていくのもいいわね。」

「?ブルー姉さん、やり残したことって?」

「そうねぇ…男達に貢いでもらって、綺麗な洋服いーっぱい買って、美味しいものいーっぱい食べて…そうだ!新しいイヤリングも欲しいわ。大きい真珠のついたやつ!それから…」

「勝手にやってろ。」


まだまだ話し続けようとするブルーに対し、グリーンは呆れたようにため息をついた。



「でも、一番は…今度はあたし達が力になりたい。」


ブルーは言った。


「アンタ達なら…この不平等な世界を本当に変えてくれる気がするから。」



優しい優しい笑みとともに。



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