哀歓善戦

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「大ニュース!大ニュース!」



「う〜ん……」


外から聞こえる騒がしい声でイエローは目を覚ました。

重い体を起こしベッドから出れば、全身鏡に映った自分の姿。


…目が腫れている。

イミテのことを考えていて、夜全く眠れなかったからだろう。

彼女が寝たのは外が明るくなってからに近い。



「(……今日、必ずイミテさんを助けてみせる!)」


ギュッと、胸の前で拳を握る。


昨日、場所を宿に移して話し合った結果、「今日はきっと軍の警備も厳重だから、助け出すなら明日の夜にしよう」というレッドの言葉に落ち着いたのだ。


ちなみに今日の昼は救出のための武器を買いに行く予定だ。



「準備しよう…」


そう呟き、イエローは着替え始める。

でも、着るのは今まで着ていた軍服ではなく、シフォン生地の薄黄色いふんわりとしたワンピースだ。

軍服だとあやしまれるからと、昨日レッドが買ってくれたものだった。


鏡に映るいつもと違う自分に少し戸惑いながらも、洗面もすませてしまおうと洗面所に向かった。






「(よし!)」


全ての身支度が終わって。

隣の部屋にいるレッドを呼びに行こうとドアを開けた瞬間。


「いっ…!?」

「え…?」


向こう側から声がした。

驚きながら見れば、おでこを押さえるレッドの姿が。


「レッドさん…?どうかしたんですか?」

「ノックしようとしたらドアが、」

「え…あ!もしかしてドアが当たって…!?すいません!!」


慌てるイエローを見て、レッドは困ったように笑った。


「はは、平気。それにしてもイエロー、起きてたのか。」

「はい。レッドさんも今起きたんですか?」

「いや…ちょっと外の様子を見に行ってたんだ。」

「外を…?そういえば騒がしいですよね。何かあったんですか?」


イエローの言葉にレッドの表情がピタっと固まる。



「レッドさん…?」


イエローはそんなレッドの様子に不安を感じた。



「原因はコレだ。」


そう言ってレッドは少し戸惑いながらも、あるものをイエローに手渡す。


「新聞…?」


彼女は手渡されたそれをパラっとめくった。



新聞一面に大きな見出しが書いてあって、

「えっ…!?」

彼女は目を疑う。


「これって…!」

「…俺も、王がこんなに早く決断をだすとは思ってもなかった。でもそこに書いてあるのは紛れもない事実だ。」




新聞には、大きな文字で『今日の正午より、死刑実行。』と書いてあった。


その内容は、裏切りものの軍人を、見せしめに民衆の前で公開処刑するというものだ。



「この軍人って…、イミテさんのことですよね?」

「………。」


イエローはレッドに聞くが返事がない。

彼は、眉間にシワをよせ、何かを考えているようだった。


「…レッドさん?」

「!あ、ああ……。たぶんな。女って書いてあるし…。」


この町で女の軍人はイミテしかいないから、その事実はもはや決定的。



…ひどいものだ。

今までさんざんイミテの力に頼りきっていたくせに、公開処刑というむごい方法で殺そうとするとは。



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