哀歓善戦

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それはいまわしい

過去の出来事










レッド、イミテ、グリーン。

彼らの故郷は争いももめごともない、白を連想させるような汚れない町だった。

名を、マサラタウンと言う。


彼らは、ここマサラタウンで生まれ育った。

3人とも同い年だったこともあり、それぞれの存在を知った彼らは、気がつけばいつも一緒にいるのが当たり前なほど親しくなっていった。





今日も3人は、マサラの少しはずれにある草原で仲良く遊んでいる。



「ねえ?レッドとグリーンは将来の目標とかある?」


イミテが色とりどりの花をつみながら、剣の修行をしているレッドとグリーンになんの前触れもなく聞いた。

それにすぐさま反応したのはレッドで、手を止めニカッと笑いながら答える。



「そうだなあ…。俺は誰よりも強くなる!もちろんグリーンよりもな!」

「…無理だな。」


この世界には珍しい、片側にしか刃がついていない刀と呼ばれるものを鞘に戻し、グリーンはしらっと答えた。


「なんだと!?」

「事実を言ったまでだ。俺がお前に負けるわけがないだろ。」

「ははーん。自信がないからそんなこと言ってんだろ?」

「…バカが。」

「!おい、今、」


「ちょっと喧嘩は止めなって!」


苦笑いをしながら喧嘩を止めるのはイミテ。

それは毎度のことで、もはや彼女の日課になりつつある。


「…ったく。じゃあ、そーゆーお前はどうなんだよ?なんかあるのか、目標。」

「あ、私も聞きたい!」


レッドとイミテはウキウキしながらグリーンの答えを待つ。


グリーンはそんな2人にただ一言。



「…特にない。」


「なんだよ、それ!」

「もうっ!期待して損しちゃった。」

「知るか。」


でも案の定な彼の答えに、2人は笑った。



「あっ。」とレッドが何かを思いついたようにイミテのほうを向く。


「イミテは?」

「私…?」

「やりたいこととかねえの?」

「え…、」


まさか自分にこの質問が回ってくるとは思わなかったのだろう。

彼女はうーん、と考えこむ。


「お花屋さんとか、あまりに乙女チックなこと言うなよ?」

「もー!言うわけないじゃん!レッドのバカ!」


そんな様子を見て、グリーンは自然と顔がほころんでいた。

まあレッドとイミテにバレると「グリーンが笑った!」などと騒ぐから、バレないように顔をそむけていたが。



しばらくして、イミテはとびきりの笑顔とともに言った。



「3人でいろんなところを旅したい!それで、たくさん思い出をつくるの!」

「お!おもしろそうだな、それ!」

「俺をまきこむな。」


乗り気なレッドに対して、グリーンは素っ気ない返事を返す。


「グリーンも強制参加!レッドだけじゃ頼りないからねー。」

「おい!」


イミテはいたずらっ子のようなかわいらしい笑みをうかべる。




「そもそもお前らは勝手すぎ「海こえてみてーな!」

「私は珍しい動物がたくさんいるとこに行きたい!」

「はは。イミテ、動物好きだもんなー。」

「うん!あ、海こえたらいそうだね。珍獣とか。」


反論しようとしたグリーンの言葉をさえぎって、2人はどんどん想像をふくらませていく。



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