哀歓善戦

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さっそく一軒の洋服屋にはいっていったイミテとイエロー。

レッドとグリーンは外のベンチで2人を待っている。


「…なあ、グリーン。」

「なんだ?」

「……何でもない。」


「?」


もやもやした感情は、いまだにレッドの心の中を渦巻いていた。

でもそれを表すのにしっくりくる言葉が見つからなくて、レッドはグリーンの顔を見つつはあ、とため息をつく。


「…お前は何がしたいんだ。」


自分の顔を見てため息をつかれるなんて、グリーンにとってはいい迷惑だ。



そんなやりとりをしばらくしていると、カランカラン、と優しい音とともに服屋のドアが開いた。

出てきたのは嬉しそうな笑みをうかべ頬を少し赤く染めたイエローだった。


「服、決まったのか?イミテは?」

「今お会計してて、もうすぐ出てくると思います。イミテさん、すっごく素敵で…!//2人ともきっとびっくりしますよ!」


弾むような口調で楽しそうに話すイエロー。

おそらく今彼女の心の中は、イミテに対する憧れと尊敬でいっぱいだ。


本当にイミテのことが大好きなんだなあ、とレッドが思わず苦笑した、ちょうどその時…。



カランという音を合図にドアが開いて、イミテが出てきた。




「「!」」



その姿に、二人とも息を呑む。

レッドも、そしていつもめったに表情を変えないグリーンでさえも、目を見開き驚いていた。




さっきまでとは明らかに違う、イミテの雰囲気。


城にいた時はいつも低い位置で一本に結っていた髪を、今はおろしていて。

腰より少し上まである長い髪が、ふわりと吹いてきた風に艶やかに揺れる。


服装は裾が黒の、淡いオレンジのベースに少しピンクが混ざったような優しい色合いのワンピース。

その上に、薄黄色の短いポンチョのようなものを羽織っている。


そして濃い灰色のブーツと、それと同じデザインのグローブが左腕にはめられいた。

おそらく弓矢用のものだろう。


どちらもイミテの白い肌をよく引き立てている。



その姿は、綺麗で。

大げさに言えば幻想的で。


(そして、なんだかやけに儚くて。)



レッドもグリーンも、その姿に見惚れてしばし我を忘れていた。



「…イエロー。やっぱりワンピースは露出度高くない?せめて下に何かズボンとか…。」

「もー!まだ言ってる!イミテさんがどうしてもって言うからワンピースも裾の長いの選んだし、ブーツの長さもひざ丈にしたし、上に羽織るものまで選んだのに!」

「……;」


なぜかイエローはいつになく強気だ。

イミテも服選びを手伝ってもらった手前、そう言われては何も言いかえせない。


「ほら、レッドさんとグリーンさんも、イミテさんに見とれてますし、似合ってるんですって!」

「……むしろ似合わなすぎて言葉が出ないんじゃない?」

「もー、なんでさっきからそんなに悲観的なんですか!らしくないですよ!」

「だってこういう女の子らしいの久々で…;やっぱり変えてもらってくる;」

「イミテさん!;」



お店の中に戻ろうとするイミテの腕を、レッドがガシッとつかんだ。



「え…何?」


「いや、その…、変える必要ないって!じゅうぶん似合ってるし!//」

「へ…」


イミテがキョトンとしてレッドの顔を見ると、彼の頬は少し赤く染まっていて…。


「(ぷ…、)…じゃあ、この服にする。」

「!おう!」


イミテが笑いをこらえながらそう答えると、レッドもいつもの笑顔を見せた。



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