哀歓善戦

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ボンッ!と大きな爆発音がして、

「侵入者だあー!!」
「全軍隊集合ー!!」

一気にあわただしくなった。


サーチライトを動かしていた軍人もそっちに移動したらしく、もう光は動いていない。


「これで大丈夫。さ、行こう。」

「ああ。(さすが…だな。)」





その後2人は休むことなくどんどん登っていき、あっという間に王室のバルコニーにたどり着いた。

レッドはそっと中の様子を伺う。


「レッド。王は?いる?」

「赤いマントしてるやつか?」

「うん、間違いない。側近は?」

「側近…かは分からないけど、軍服着たヤツが全部で3人いる。……ついでに、昼間の男はいない。」

「3人、か…。」


特に待ち伏せをされているわけでも、罠を仕掛けられているわけでもなさそうだ。

レッドは少し窓を開け、その会話に聞き耳をたてる。



「おい!これは一体何の騒ぎだ!?」

「西側の庭に侵入者があったようで…、」

「何のための軍人だ!使いものにならん奴らめ。お前らの変わりなんていくらでもいるんだぞ?」


冷たい口調とともに王は家来をギロリとにらみつける。


「も、申し訳ありません…!」

「分かっているなら態度で示せ!早く侵入者を捕まえてこい!命にかえても私を守れ!!」

「「「はっ!」」」


軍人三人はその場で敬礼し、いそいで部屋をでていった。



「まったく、どいつもこいつも…。こんなことで明日の遠征が中止になったらどうするつもりだ。」

「「!!」」



王の言葉がはっきりと聞こえ、レッドとイミテは顔を見合わせた。


………遠征。

あの男の話は本当だった。


「側近が王から離れた今がチャンス。…行こう、レッド。」

「ああ。」



ガラララ!!

と勢いよくバルコニーのガラス戸を窓をあけ、2人同時に中に入った。



「な、お前ら…!」


レッドは素早く王に剣を突きつける。


「バ、バカな真似をするな!私が声を出せば、兵が、」

「騒いだら殺す!いいな!?」


レッドの言葉に王は冷や汗を書きながら、コクコクと頷く。



「!」


すると、王の視線がイミテをとらえた。



「イミテ、貴様か!コイツにここに侵入する経路を教えたのは…!仕返しに来たのか…!?」

「(本当に驚いてる顔…。あの男から情報は伝わってないのか…。)…アンタに聞きたいことがある。」

「聞きたいことだと…?」

「トキワの森。」

「!」

「もちろん知ってるでしょ?」

「知らん!そんなもの!」


王はしらをきろうとしたが、レッドとイミテが王の顔色が変わったことを見逃すはずがない。

レッドが王にじりっと近づいて言う。


「正直に答えないと…、」

「ま…待て!言うから止まれ!!私がトキワの森を焼き払うように指示をだしたんだ!」

「それは分かってる。何でそんなことをしたのかを聞きたいの。」


「…トキワの森の能力者を捕まえるためだ。故郷を焼きはらってしまえば、必ず復讐しにやってくるだろう?」

「(それだけのために森1つを焼きはらうなんてひどい…。)」

「そんなに能力者が欲しいのか?」

「違う!トキワの森の件については私が望んでやったことじゃない!上に命令されて仕方なくやったんだ…!」

「上…?」

「……これ以上言うと私の首が危うくなる。」


王はそう言ったきり黙りこんでうつむいた。



「それ、今の状況分かって言ってるの?」


イミテが弓を構えれば、王は顔を青ざめ「分かった!言うから早まるな!」と言ってあわて始めた。



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