哀歓善戦

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「ここがクチバシティか。」


ハナダシティの件から一週間が立ち、レッド達はクチバシティにたどり着いていた。

遠くにはきらめく海が見え、大きな船が数隻停泊している。


「まずは港に行って、聞き込みするか。」

「ああ。」


彼らが聞こうとしていることはもちろん、王達を裏で仕切っているサカキ…彼は何者なのか、そして何が目的なのか、である。


港を目指し歩きだしたのはいいが、人が多くてなかなか進まない。


「さすが港町だな…。皆ちゃんといるか?」

「うん。今のところは。…あれ?イエロー?」


イミテがキョロキョロと辺りを見回せば、遠くにイエローの姿があった。

背の低いイエローからは人ごみのせいで皆がどこにいるのか分からないらしく、その場から動けないようだ。


「私、イエロー連れて後から追いかけるから二人は先に行ってて。」

「女だけじゃこの辺は危ないって、」


レッドの静止もむなしく、イミテは人ごみに消えた。


「行くぞ、レッド。」

「二人だけにして大丈夫なのか?クチバシティは物騒だって聞いたけど。」

「路地裏が危険なだけだ。この辺りの大通りは問題ない。」

「ならいいけど…。」


まあイミテがついてるなら大丈夫か、と彼らはまた歩きだした。









「イエロー。」

「イミテさん…!」


それからしばらくして、やっとの思いでイミテがイエローの元にたどり着いた。


「よかった。レッド達には先に行ってもらったから。さ、行こう。」

「はい!」


そう言い進もうとした二人だったが、人が多くてなかなか思ったように進まない。


「このままじゃ拉致があかないね…。」

「!イミテさん。ここならすいてますよ?」


イエローが指差したのは薄暗い路地裏。


「でもやっぱり路地裏は危険ですよね…。なんだか気味悪いし。」


イエローはそう言ってしゅんとうつむく。


「行ってみようか。こっちのが早く進めるだろうし。」

「えっ、危なくないですか?」

「平気。危なくなったら逃げればいいんだから。ちゃんとイエローのことは私が守るよ。」

「!」

「行こっか。」

「はい!」


イミテはイエローの手をひき、路地裏へと進んでいく。



案の定、そこはガラの悪そうな若者の溜まり場となっていた。

ピアスをいくつもしている者や、明らかに未成年なのにタバコをふかしている者などが、地べたに腰を降ろしている。

そんな中を歩くイミテとイエローはやはり目立つようで、路地裏にいる彼女達以外の誰もが2人を目で追っていた。


イミテはそんなこと気にせずさっそうと歩いていたが…、

「お嬢ちゃん達、二人でどこ行くんだい?」

やがて数人の男に道をふさがれてしまった。


「俺らと遊ばない?」

「嫌なこと全部忘れられるぜ?」


ニヤニヤとした笑みを浮かべながら、舐めまわすようにイミテ達を見ている。

気持ち悪い…、とイミテは顔を少々歪ませる。



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