哀歓善戦

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はあ、とイミテはため息をついて今度は静かに話し始める。



「…人には得意不得意があって当たり前でしょ?たしかにイエローは戦いは強くない。でもあの子は私達の傷を癒やしてくれる。」

「…っ、でもイエローが攻撃できればイミテが怪我することもなかった…!なんで、庇ったんだよ!」


「仕方ないでしょ。つい、身体が動いちゃったんだから。…逆に私は驚いてるよ。」


イミテはレッドを軽蔑するような目つきで見て言った。


「あのとき、レッドが動かなかったことに。どうして、イエローを守ってあげなかったの?」

「……っ、」


「レッドはもっと、仲間を大切にする人だと思ってた。」


ぴしゃりと彼女が言い放った言葉は、彼の心に突き刺さった。


しばらくの間、誰も言葉を発しない。

重い沈黙だけがひたすら続く。



「……俺も、イミテがそんなバカだと思わなかった…!」

「…どういう意味?」


「他人の心配するのは自分の身を守れるようになってからにしろよ!もっとよく考えてから行動しろ!」

「!レッドにそんなこと言われる筋合いない!」

「仲間に意見してなにが悪いんだよ!」


「他の人を思いやれないような人に、仲間呼ばわりされたくないから!」


イミテは言った後で後悔した。


さすがに…これは言い過ぎだ。



「…ごめん、言い過ぎ「いや…、イミテの言うとおりだ。」


イミテの言葉を遮って、レッドは苦笑をうかべて言った。


「……そりゃあそうだよな…。…イミテにだって、手を出す前にちゃんと話し合えばよかったんだ。もっと俺達のことも頼れ…って。そう言うつもりだったのに。」


「……。」


「自覚してる。悪いのは俺だって。それなのに、なんか悔しくて、謝れなくて…。イエローにまであたって。バカみたいに、意地はって。」


しゅん、と俯いたままのレッド。




「レッド。顔…あげて?」


イミテが優しい口調で言えば、少しためらいながらもレッドは顔をあげた。


2人の様子を黙って見ていたグリーンとエリカは、これで仲直りか、と安堵のため息をもらす。



しかし次の瞬間、


バシンッ!!



痛々しい音が響きわたった。


イミテがレッドの頬を叩いたのだ。

彼女のまさかの行動に唖然としながら見ていたグリーンは、我にかえって止めにはいる。


「イミテ!感情的になるな。やりすぎだ!」


「……レッド。」


イミテはそれを無視してレッドに話しかける。


「これで、おあいこだから。」


そう言ってやわらかい表情を見せた。



「はっ……?」


「だから、もうこの話は終わりって言ってるの。レッドが私をぶったかわりに、私もレッドをぶったから、これで仲直り。分かった?」

「あ、ああ…。」



今のレッドにはどんな言葉も慰めにはならず、きっと彼の中の罪悪感は消えない。

イミテはきっとそれを見抜いていたから、この選択をしたのだ。

少々一方的すぎるが彼女らしい、とグリーンは笑みを浮かべた。




「行こう、イエローを迎えに。」

「え…?」

「レッド。思ってるだけじゃ伝わらないよ。少しでも後悔してるなら行かなきゃ。」

「……ああ。」


レッドは静かに頷いた。

それを見て穏やかに笑い、ベッドから出ようとしたイミテをエリカが止める。



「いけませんわ、イミテ。アナタまだ回復しきってないんですのよ?」

「大丈夫。熱は下がったし。」

「おい、イミテ。また無理して「それに、」


納得いかなそうなレッドの言葉を遮り、イミテは笑いかけた。



「1人じゃないから平気。頼ってもいいんでしょ?レッド。」


にこっと笑ったイミテに、レッドも思わず顔が緩んだ。


「ああ!まかせろ!」



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