哀歓善戦

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シオンタワーの最上階でゴールドがクリスと話をしている一方、イミテはナツメと戦っていた。



イミテがゴールドとクリスをナツメから引き離すために緑の能力で作った格子状の蔓は、まだやぶられていない。


しかし、ナツメの超能力によって操られたガラスの破片は、依然として彼女に狙いをさだめていた。



「さあ、終わりにしよう。」


そう言うと、ナツメはガラスの破片をイミテに向けて、一気に勢いよく飛ばす。



「くっ…!」



イミテはすばやく横に逃げるが、思ったよりもナツメの攻撃範囲は広く、いくつかの破片が腕や太もも…と、体をかすめた。

体の正面にとんできた破片は弓で上手くはらったため、それほど深い傷ができなかったのが幸いだ。



しかし、このままではやられるばかり。

イミテは勢いよくナツメをにらむと、矢を手にして彼女に向けて放った。



「無駄だと言っているだろう。」



ナツメは平然と言い放ち、超能力で矢の動きを止める。

カランカラン、というむなしい音をたてながら矢は床に落ちた。



「………。」

「お前に勝ち目はない。弓は使えないからな。」

「(弓もダメ、物理攻撃も効かない、か…。)」



だいぶ不利な状況にイミテが顔を歪めたのを見て、ナツメはフフッと笑みをうかべた。



「さあ、分かったらさっさとこの蔓をどかせ。」


ナツメがイミテが作った蔓の壁に触れながら言う。


「………。」


イミテは黙ったまま、ナツメをにらみつける。



「従う気はないらしいな。…まあいい。お前を殺せば必然的にこの蔓も消えるんだからな!」


ナツメは手をスッとあげ、先ほどイミテが弓ではじいて落としたガラスの破片を浮かび上がらせた。



「!また…!」



先ほどとは違い、今度は四方八方からガラスの破片がイミテに狙いを定める。



「ははは!これで終わりだ!」

「ッ!」



ガラスの破片がイミテに突き刺さる、まさにその瞬間、イミテは自分の足元に矢をはなった。

そこから蔓が伸びて、イミテの周りをドーム状に囲む。


そう、これはかつてグリーンが操られた時、イエローとゴールドを守るために作ったのと同じものだ。


ガラスの破片は蔓にぶつかり、粉々にちりながら落ちた。



「……残念。その攻撃はもうきかないから。」



イミテはニッと笑って言った。

この蔓は強度が高く、火で燃やさないかぎりなくならないのだ。



「蔓のガードか…。こざかしいな。潔く負けを認めれば、楽に死ねるものを…。」

「……。」

「さっさと出てこい。」


しだいにイラつき始めるナツメに、イミテは「…ふーん。」と笑みをうかべる。




「アンタのその超能力。なんとなく分かった。」

「…ほう。何が分かったというんだ?」


「まず、操れるものに限りがあるってこと。」

「……かまをかけるつもりか?無駄だ。」

「ちゃんと根拠もあるから。」

「根拠だと?」




「……私が作った格子状の蔓の壁も、この蔓のドームもまだ残ってるのは、不自然だと思ってね。」


イミテは軽く笑みをうかべながら言う。



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