ぎんたま
□特別
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団長のあの変な笑顔以外の顔って見ました?
ああ、あるさ
お前さんだって見たことあるだろ?
そうじゃなくて、面と向かってですよ
そんなことになってりゃ今頃俺ァこの世にいねェだろうな
ふうん
何だ急に
あたしを殺す時はあのカオになったりしないかなー
オイオイ何縁起でもねぇ事抜かしてやがんだ
ほら、あたしとあいつって戦う事以外になると似たり寄ったりじゃないですか
特別な存在になりたいだけですよ
お前さんは仕事もまあまあ器量もそこそこだが、俺のカワイイ部下って特別枠に入れてやってんだ
それで我慢しとけ
それはそれは
少なくともあたしは阿伏兎さんの特別ではあるようだ
でもあたしはあいつの特別になりたい
恋愛とかどうとかじゃなくて
あいつのカオがあたしにむけられたときにはじめてあたしはあいつのなかで存在するようなきがする
特別な存在になりたい
その場の状況に俺はただ呆然とするだけだった。団長の前に血溜りが出来ている。随分前からずっと降り続いている雨の所為で血と雨の境界線はにじんでいる。また団長の悪い癖でもでたんだろうと軽い気で雨粒がたたきつけられているそれを見やれば見覚えがあった。オイオイ冗談キツいぜ。マジかよ。団長は何も言わない。いつもの笑顔は無い。特別なヤツにするあのカオってヤツだ。お前ら馬鹿だろ。まったく勘弁してくれよ。そのうちに団長は船へと戻って行った。俺とコイツふたりっきりにしてどうすんだってんだ。