STORY

□体育祭
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《体育祭・数日前》

準備段階ではまだ『やる気ありませ〜ん』というポーズをとっている人が沢山いるだろう。
けれど始まっていくつかの競技を終えたところでもうそんなことをほざく人はいまい。
いたとしても相当の捻くれ者か、というよりそのぐらいしかいないだろう。

話を戻そう。

そう、そんなことを言う人はいなくなり、『○○君頑張ってぇ〜!』だの『早くしろよ!』だの言い始める。
冷静に考えればその高揚感は運動することになって分泌されるアドレナリン効果でハイになる、ワケなのだが
いや、こんな不粋な言い方はやめよう。
つまり、何が言いたいのかというと、だ。
《体育祭》なのである。
勝つか負けるかの一発勝負。
朝練で練習したバトン渡しなど、組の点数が増えるように沢山してきた。
そんな、《体育祭》


組は縦割りで一組が赤、二組が青、三組が白、四組が緑、五組が黄となっている。
一護は三組なので白である。

「黒崎頑張れよ」
「期待してるからな〜」

一護は珍しく無表情だった。
体育祭は面倒臭いと思うが体を動かすのは勿論、勝負事は好きだし先程のように頼られるのも嫌いではない。
中三まではそれなりに楽しくやっていた。



………自分はどうやらモテるらしい。(水色が言うには)
いや、それは心底どうでもいい。
興味がない。
それよりもソレを言うついでにといった感じで告げられた方がスッゲェ気になる。
っつぅか、それが今悩んでいることだ。

『井上さんってモテるんだよ〜』

………わかってる。
わかってるさ!
井上は優しいし美人だし、文句の付け所がねぇ奴だ。
そんな奴を自分の彼女に出来たのは、本当に俺は幸せ者で。
でも知り合いに付き合っていることを言う気にはなれなかった。
それは唯の、俺の醜い独占欲。
《恋人同士》の時だけに、二人っきりの時だけに見せるその《顔》は、まだ自分だけのモノにしておきたいから。
でもそんなことは他人にゃ関係ないんだよな。


さらに体育祭っつぅのは修学旅行、文化祭に次ぐ絶好の告白日らしい。
日常の中にポツリとある非日常。
浮かれてアドレナリン大放出して勢い余って告白するってワケだ。

………マジどうするよ、俺っ!!;









体育祭はもう、間近

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