STORY

□おいしい職業
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【おいしい職業・乗務員編】



「ヤ、ヤ…くろさきく……」

「止めないけど、これ以上もしない…」

「それも…ダ、メ…」


白い首筋を覆うライラックのスカーフをするりと引っ張って。
シングルリボンになったそれでは絶対に隠せない朱い痕を付ける。

新幹線の揺れに合わせて動く双丘を、直に揉み拉かなきゃ気が済まなくて。
思わずスカーフに合わせられた、井上の黄色いブラウスのボタンを外していく。

淡いピンクのブラジャーが顔を出すと、いてもたってもいられずに。
半カップのそれをずらして丘の頂きの朱い果実に歯を立てた。

生理的な涙を流す井上の頬に一度唇を戻して。


「痛いか?ワリィな……」


…でも元気になれるだろ。



終点の駅で俺達二人は降りる。
二人で休暇を合わせて、その駅で降りたら井上はもうオフだけれど。

今日最後の北へ向かう、客も疎らな新幹線。

隣の車両での異変に気付いて、俺が止めたから、何も無かったけれど。


目の前で泥酔客が井上を襲おうとしていたから。
頭が真っ白になって、久しぶりに手加減無しで人を殴った。

男がゴンと椅子にぶつかる音で、取り敢えず冷静になって他の乗務員を呼んだけれど。


業務は終了させて帰れという上司にも逆らって、井上は終点まで乗ると言う


休暇を家で過ごすのも、さして問題の無い俺も、上司のそれに賛成したし帰ろうと思った。
もしかすると、男とは一緒に居たくないかもしれないし、学生の時以来だけど、竜貴にでもお願いしようとも。


「何で言う事を聞かなかった?」


頭を下げて乗務員室の一つを貸して貰ったけれど。
やはり言葉にできるのは、心配が故のお説教。


「だって…黒崎くんとの温泉…楽しみだったんだもん」


私の所為でキャンセルは嫌だったからと続けられる言葉には、どうしたって勝てなくて。

…ごめんな。

怖かったろと声を掛けると抱きしめた。



「ん?井上?もう一回言って?」

「…くろさきくんに…しか見せたこと…無かったから。嫌われちゃうんじゃないかと、思って…」


新幹線の走る音と、抱きしめた胸元で、何を言ったのか本当に解らなかった

…マジかよ。

だけど2度目は1度目の時よりも向上した集中力で、何とか聞こえた。


『黒崎くんに…触って欲しい』


でも、これで井上が安心するなら。
あの男と同じように獣になったっていい。

…ここがどこかなんて関係ねえ。

井上の顎下を捕ると、舌で唇をなぞる。
それを合図に薄く開けられた口にすかさず舌を入れると、怖ず怖ずと差し出された舌を勢いよく引っ張った。
途端に井上の咥内はクチャりと音を立てるくらいに濡れて、口角から受け切れない唾液が流れ出す。


「触られたのドコだ…」


そう呟く唇に距離は無い。
普段ならこんな深いキスをした後は、首筋を伝って鎖骨を滑って
柔らかな白い場所に朱い痕をつけるけれど。

既に声にはならない吐息で、井上が足だと答えるから。

井上の掛けている椅子に片足だけ掛けさせて。
パンプスを脱がせると指先から付け根まで辿った。


…自制が利かなくなるかも知れない。


このまま秘部を触ってしまえば、俺の衝動は止められなくなるかも知れない。

でも井上から時々上がる甘い啼き声に、既に酔いしれていて。
ストッキングとショーツを破るように乱暴にずらすと、布越しにも解るくらいに濡れたソコに栓をする。

溢れてくる蜜は留まるところを知らなくて。

指を増やしても手首まで濡らして行く。

そんな中に自身が入りたくて仕方ないのに、車内アナウンスが終点が近いのを知らせて来るから。


「もうイっとけ…」

「…ヤだ…黒崎く…一緒に」


指を激しく動かすと、井上の声がどんどん甘くなっていく。
ナカはヒクついて来て限界が近いのが解る。


「ヤ、ヤメ…くろさきく……」

「止めないけど、これ以上もしない…」

「それも…ダ、メ…」


もう黙っておけと言わんばかりに、ジーパンのポケットからハンカチを出して口に押し込んだ。

こんな時でも俺を気遣うそんな井上を堪らなく愛しく思う。
でも、俺も一緒じゃなきゃ嫌だと、顔を左右に振って訴えるから。


…ったく、勝てねえな。


嫌いになる筈がない。
ましてやこんなに傷つき安易い君だから。


スカーフをしていても隠れないところに所有印。

万が一誰かに、前を開けさせられても、一度は躊躇させる俺の歯型。


…まぁそんな事はさせねえけど。


だけどまだ、目をとろんとさせ乍も俺を心配するから。
これ以上もしないと、逆らった井上に最高の意地悪を言ったつもりだったけれど。

結局はまた勝てないんだ。


「だから俺の続きは温泉で…」


End


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