小説部屋

□砂の国の想い
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砂の王国アラバスタ―

悪夢のような闘いが終わり、復興に向けて歩みだした人々にとって、国を守るために殉死したと思われたペルの帰還は、嬉しいニュースであった。
人々は大いに喜び合い、復興への活力となった。

だが、受けた傷は相当なものであった為、国を救った英雄の一人は、しばらく宮殿内の一室でおとなしく寝ているしかなかった。


「具合はどうだ?」
「チャカ。」

同じ王国護衛隊副官であるチャカは、毎日のようにそんなペルを見舞っていた。

「顔色はずいぶんよくなったようだな。」

チャカはベッド脇の椅子に腰掛けかけがいのない仲間であり、友である男の顔を見ると、ホッとしたように呟いた。

「元々大した傷じゃない。もう大丈夫さ。」

「何を言ってるんだ。ビビ様から聞いたぞ。無茶をしたものだ…。」
「無茶ではないさ。それを言うなら、ビビ様だって相当無茶をなさっていた筈だ。」

「…そうだな。」


国がおかしくなり始めたのは2年前―

見えない手に蝕まれ始めたアラバスタを守るため、僅か14歳の王女が国を飛び出した。

その真相をカルーからの手紙で知った時の衝撃は、今も忘れない。



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