小説部屋
□優しきLIAR
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声の主はチョッパーだった。
悲しい夢でも見てしまっているのだろう。ギュッとつぶった瞳の端からは涙がにじんでいる。
ウソップが「また」と言ったのには理由がある。
実は彼は度々この光景を目撃していた。
それはハンモックが隣のウソップしか気付いていないことだけれど…チョッパーは時々、夢を見ては泣いていた…。
「お前はまだまだ…ガキなんだもんなぁ…。」
ウソップは決してチョッパーをバカにしているのではない。
チョッパーの医術はずば抜けて優れているし、戦いでの強さも本物だ。
ただ…どうしても素顔はまだまだ子供なんだなと、こんなときに思い知らされる。
それは仕方のないことだった。
いつだったかナミに聞いたチョッパーの過去―
子供の頃から独りだったチョッパーの話は、早くに親と別れたウソップの胸を熱くさせたのを覚えている…
「…よし!!」
突然、何かを決意したウソップは、寝ているチョッパーと毛布を担いで上へと昇り始めた。
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