小説部屋
□砂の国の想い
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「ビビ様は…ずいぶん大人になられた。」
「あぁ…私もそう思う。」
お転婆だった幼き頃―
その無邪気にはしゃぐ姿は昨日の事のように覚えている。
いつの間にか、少女は立派な王女となり、国を守るために自らの身を省ず、過酷な道を走り抜いていた。
「アラバスタの守護神…か。ビビ様のご苦労に較べたら、私など情けないものだ。」
「ペル…。」
アラバスタに古より伝わる守護神は、ジャッカルとファルコン。
偶然か必然か、チャカとペルはそれぞれが悪魔の実によって、その能力を持っている。
人々は守護神が人として舞い降りた事を喜び、二人はその期待に応えるべく、互いに精進してきた。
若くして王国護衛隊の副官と言う地位を授かったのも、能力だけではなく、二人の努力の賜であった。
「私は、守護神などと呼ばれるのに足る者ではない。今回の事で改めて思った…。」
「………。」
チャカは何か言おうとしたが、何も言えなかった。
それは少なからず、自分も思っていた事であった。
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