小説部屋

□砂の国の想い
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もし、自分たちが国を守るための神であったなら、こんなに多くの犠牲を払う事もなかった筈だ。

ビビ様にも、国王様にも、護衛隊隊長であるイガラムさんにも…国民にも…
こんなつらい思いをさせなかった筈だ。

二人は同じ思いを抱き、沈黙した。


そこに一人の男がやって来た。

「べ、マ…マ〜、ペル。おぉ、チャカもいたのか。丁度よかった。」

入って来たのはイガラムであった。

「ドクターが言うには、ペルの傷も大分癒えて来たので、そろそろ風呂に入ってもよいとの事だ。それを聞いた国王様が、特別のはからいとして宮殿の大浴場を開放して下さった。ペルだけでなくチャカ、お前も入って良いそうだ。有り難く頂戴するがいい。」
「なんと…身に余る光栄。ではペル、行くとしよう。」
「ああ。イガラムさん、貴方は?」
「ん?…マ、マ〜、私も後で行くぞ。滅多に入れるものではないからな。」

宮殿の大浴場は、本来雨季にしか使われない自慢の施設だ。
例え雨季でも、水を大切にする国王は、余程の賓客でもない限り、利用することはない。

一介の護衛官に開放するのは、彼らの働きに対する国王の感謝の意が含まれている。

その意味が分かるからこそ、二人は恐縮しながらも、国王に感謝し、広い湯船に身を委ねた。



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