小説部屋
□砂の国の想い
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「気持ちのいいものだなぁ。ペル、傷は大丈夫か?」
「もう塞がったらしい。本当に気持ちがいいな。夢の様だ。」
水を奪われた三年間―
こんな日が来ることを夢にはみたが、現実となった今でも、まるで夢のように感じる。
「実はな…」
「何だ?」
ペルは遠い目をしながら、チャカに語りだした。
「先程私は、自分が守護神と呼ばれるに足る存在ではないと言ったよな。」
「………あぁ。」
「あの時だけは、違ったんだ。」
「あの時?」
クロコダイルが宮殿前広場の時計台に仕掛けた爆弾。
時限式で止める術をもたなかったそれを、脚で掴んで空へと飛び立った。
「爆弾と共に、高く、もっと高くと飛びながら、何故か思ったんだ。」
我、アラバスタの守護神
ファルコン
王家の敵を
うち滅ぼすものなり
「今にして思えば、やはり私は神などではない。…何故なんだろうな。」
それだけ言うと、ペルは目を閉じて考え込んでしまった。
チャカはそんなペルをじっと見つめると、口を開いた。
「ペル…実は、私も同じだったのだ。」
「…同じ?」
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