小説部屋
□遡る夜 歩き出す朝
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「馬鹿な事を言うな!!お前みたいな子どもに、刺青など彫れるわけがなかろう!!」
「お願いドクター!!」
何度も何度も頼み込んで入れてもらった刺青。
チクチクと針が刺さる。
痛いよ。
痛いよ。
でも、ナミも耐えたんだから―
「これで終わりじゃが…これだけ広範囲に渡って入れたから、きっと熱を出すぞ。今日はここにいろ。」
「大丈夫。ありがとうドクター。」
精一杯の笑顔で、家に帰った。
本当だ。
ドクターの言う通りだった。
刺青を入れた肌が熱を持ち、小さな体には堪えきれない痛みと高熱が襲った。
熱いよ。
熱いよ。
でも、ナミは泣かないって決めたから。
あの子は一人で戦っているんだから―
ナミがひどい傷を負って帰って来た。
私は手当てをする事しか出来ない。
ナミはこんなになってまで、戦っているのに!!
情けない。
情けない。
ふがいなさと歯がゆさに、泣きたくなった。
でも、泣くもんか―
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