小説部屋
□message
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アラバスタ
葬祭殿はほとんどその姿を戻しつつあった。
今日の作業は終わりを迎えたらしく、辺りに人影はない。
入り口手前でコブラは歩みを止め、一見何の変わりもない地面の、とある場所に手を添える。
グッと力を込めると、地面が四角く盛り上がり、地下へと続く階段が現れた。
「こっちだ。急いで入ろう。」
「はい。」
コブラに続いて、多少緊張した面持ちのビビは階段を降りた。
地下とは思えぬ広さをもった聖殿。
一度バラバラに壊れたため、復旧作業中でもその傷跡は生々しいものがあった。
しばらく歩くと、大きな石が目の前に現れた。
コブラはその石に辿り着くと、そっと手を触れ、ビビに厳かに告げた。
「これが、“歴史の本文”(ポーネグリフ)だ。」
「これが…。」
初めて見るその石を、ビビはただただ見つめていた。
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