小説部屋

□満月の夜
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メリー号キッチン

外は雨が降っていた。
遊ぶことも出来ないため、昼食が終わってもなんとなく皆キッチンにそのまま留まっていた。

「なぁ〜ナミぃ〜、夜までには止むかなぁ〜〜?」
「普通ならね。そんなに長く留まる雲には見えないわ。ただし、ここはグランドラインだからねぇ。いきなり晴れても雪が降ってもおかしくないわ。」
「雪か〜。雪も好きだけど、今夜は晴れて欲しいなぁ〜。」

ぐで〜っと伸びたままのルフィが呟く。
雪好きなルフィが、今夜だけは雪より晴れを望むのには理由があった。
船は数日前から秋島の気候海域に入っていたのだが、ある日夜空を眺めながらサンジがこう言ったのだ。

「お?もうじき満月だな。気候も秋っぽいし、晴れたら久々に月見でもするか?」
「お〜〜〜!!いいな、それ!!」
「ヘェ…たまにはいいコト言うじゃねェか。」
「“たまには”が余計だ、クソマリモ。」

全員一致で可決された月見の宴。
それが今夜なのである。

「しょうがない…やはりここは俺サマの出番か…。」
「何だ?どうするんだ、ウソップ??」
「チョッパー、今まで黙っていたが…実は俺は天候を操ることが出来るんだ。」
「ええ〜〜〜!!本当かァ〜〜〜〜!?」
「ああ。今日はお前に雨を吹き飛ばす踊り『ハレハレの舞』を見せてやろう。そもそもこの踊りは古より勇敢なる海の戦士にのみ伝えられるもので、普通の人間はその存在すら…。」





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