小説部屋
□光
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バタン!!
その時扉が開いた。
心の扉ではなく、キッチンの扉。
いったいいつ止んでいたのだろう。
開け放たれた扉から、まぶしい光が溢れ出す。
「なんだ、皆ここにいたのか〜。雨止んだぞ!!」
光を背にした少年が、満面の笑みで外を指差す。
ああ…この光景は前に見た。
諦めていた夢を
ずっと心に秘めていた夢を
再び照らした光。
締め付ける縄を
抱え込んでいた膝を
全て解き放ってくれた光。
そうだ。
あの時…この光が、この笑顔が、全ての闇を払ってくれた。
もう暗い闇に帰ることはないんだ。
「なぁなぁ、外見ろよ!すっげぇいいモンがあるぞ!!」
大空を指して光が微笑む。
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