小説部屋
□理屈じゃないもの
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夢のために戦って死ぬのなら、いつ死んでも悔いはない。
それは自分も同じだ。
ただ、いつからか…いや、もしかしたら最初から、こいつは『船長として』命をかける覚悟も持っていた。
ま、こいつのことだ。『船長として』なんてことは考えてないのかもしれない。
気まぐれなのか、何なのか、それを一番強烈に思い知らされたのは、大将青キジと戦ったときだ。
ヒエヒエの実の能力者相手に挑んだ一騎打ち。
「どちらかが負ければ」それで終わり。
一味の他の者に手を出すことを許さず、自分がその相手として戦うことを瞬時に選んだ。
「なぁ、ルフィ。」
「んん?なんだ?」
「いや…なんでもない。」
「なんだそれ?気になるじゃねぇか。」
「気にすんな。」
「そっか、わかった。」
あの時、何を思って一騎打ちを選んだのか。
聞いたところでまともな答えなどきっと返ってこない。
そういうヤツだ。
きっと…理屈じゃはまらない。
「新世界か。わくわくすんな♪すんげェ冒険が待っているんだろうな。」
「多分な。」
「きっと強ェヤツもたくさんいるぞ。ゾロも楽しみだろ?」
「あぁ。」
こいつがいつの間にか『船長』であったように、おれも気付けばいつの間にか『海賊』だ。
大剣豪目指して夢への道を進む。
そして、いつか、こいつが海賊王になる日まで、夢への道は終わらない。
いつからかなんて聞かれても困る。
気付けばいつの間にかそう思っていた。
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