お宝部屋
□アヒルの子
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小さな港町に寄ったメリー号。この日はそれぞれ自由に町へと繰り出した。
そんな中、他のみんなよりも一足早く帰ってきた2人――チョッパーとロビン。
2人は古本屋へ行ってきた。そこで何冊か購入し、ただいま甲板にて買った本を整理している最中なのだ。
「古本屋ってすげェな!!いっぱいいろんな本があったぞ!」
「歴史あるものが、古本屋には多く売られていたりするのよ。」
「そうなのかァ。おもしろそうな本ばっかりだったもんな!」
チョッパーの古本屋に対する興味は未だに冷めない。
「また、違う街でも行きましょうか。」
「本当か!?楽しみだな〜〜・・・・・ん?」
と、チョッパーの目に一冊の本が目にとまり、それを山積みになった本から取り出した。
それは、他の本よりも薄く、全体的に黄ばんでいて表紙の字も古ぼけている。1番年季がはいった本のようだ。
「これ、ロビンが買ったのか?」
「いいえ。買った記憶がないわ。」
「おれもなんだ。買うときに一緒に紛れてたのかなァ・・・。」
「船医さん、その本を見せてもらってもいいかしら?」
「いいぞ。」
チョッパーはロビンに本を手渡した。ロビンは裏表と表紙を見て、パラパラと本のページをめくったりして調べてみた。
「童話みたいね。」
「どうわ?」
「昔から伝わる教訓を子どもにも理解してもらうために、わかりやすい物語が書かれたお話よ。」
「へェ〜。その本の題名はなんて書かれてあるんだ?」
「ごめんなさい。最初の文字がかすれていて読めないの。最後には、“アヒルの子”と書いてあるのはわかるのだけど。」
「アヒルかぁ・・・どんな話なんだろうな・・・」
チョッパーはいつの間にか古本屋への興味から、目の前にある本へと興味が移動していた。
「読んでみましょうか?」
「いいのか!?」
「えぇ。私も初めて読むわ。」
チョッパーは目を輝かせながらその場にちょこんと座る。
ロビンはゆっくりと本を開き朗読を始めた。
物語の幕があける―――