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確かに巣山はお洒落さんだ。
学校行き出ない私服姿を目にしたら誰もがそう思うだろう。
けれど学校でその手の雑誌はどうかと思う。

「なー巣山、それって女物の雑誌だよな」
「あぁそうだけど」

水谷の言葉に顔も上げずに答えた巣山は、その雑誌に熱心に目を通している。
その様子にそれ以上言葉を発せずに困った顔を隣に座っている栄口に向けても、同じようにぎこちない笑みを浮かべて首を傾げてくるだけ。

「水谷はさ、これに合わせるならこっちとこっちどっちがいいと思う?」
「へ?」

指さされた雑誌に目を落として、うーんと水谷が唸れば栄口が控えめに巣山に声をかける。

「服、買いに行ったりするの?」
「あぁ今日部活ないから久々にデート」
「「デェト!?」」

驚きの声を上げた2人を気にした様子もなく、巣山は時計を見るとゴソゴソと雑誌をカバンにしまい込んだ。
じゃぁそろそろ行くわと席を立てば、唖然としていた2人は慌ててその後を追いかけた。

「尚治」
「おう、行こうぜ」

校門の外へと他校の女生徒に迎えられた巣山が遠ざかって行くのを水谷と栄口は一緒になって見送る。
ちゃっかり鞄を持ってあげている優しさが何とも男らしい限りである。

「どうし、たの?」
「うあー三橋ぃ、巣山がー!」
「巣山 くん?」

格好良いんだよーとぐいぐいとシャツを引っ張る水谷に、三橋は首を傾げて遠く歩いて行く巣山に視線を向ける。

「あ、」
「あれって彼女かなー?綺麗な人だったよね」
「あれ、巣山 君の、お姉さん だよ」
「「へっ!?」」
「仲良いんだって 言ってた よ」

ふひっと笑った三橋の言葉に目をぱちくりと瞬かせて。
巣山が先程久々にデートと言ったその言葉、からかいもしくは牽制か…
とりあえずと両サイドから三橋の腕をガシリと捕らえた2人だった。



(巣山姉は他校在住。私服は全て巣山の見立て。頼りなる弟が自慢/笑)


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