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買い物に出かけるとあの田島が赤ん坊を抱いてあやしてるのを見てしまった。
その珍しい光景に、驚いて近付いて行く。

「ゆーじゃねぇだろ、パパだろー?」
「た、田島…?」
「おー花井!」

おっすっていつもと変わらず挨拶してくる田島。
でもその前にとんでもない発言してなかったか?

「えっと…その赤ん坊って…」
「ん?オレの子供!」
「なっ…!!!?」
「コラゆー、変な冗談言わないの」

困ったような笑みを浮かべた女の人が田島の頭を撫でる。
田島はその人の買い物袋を腕に下げると、赤ん坊を渡した。

「ごめんなさいね、君が噂のキャプテン花井君?」
「え…?」
「私、悠一郎の姉なの」

話は色々聞いてるわって、笑った顔にドキドキと心臓が高鳴る。
落ち着いた物腰は田島に似てなくて、なんとなく…

「なぁ、もう帰ろうぜ」

田島の声が会話を途中で止めた。
なんだよ話してる途中にと顔を向ければ、その瞳にゾクリと背筋が凍りそうになった。

「ふぇ…うぎゃぁぁん」
「あらあらどうしたの?」
「泣くな、男だろ〜?」

泣き出した赤ん坊に向ける笑みはいつものもので、さっきのは見間違いだったのかと息を吐く。

「じゃーな花井」
「お、おう」
「それじゃぁね」

歩いて行ってしまう2人に小さく手を振る。
気のせいだよな、田島の奴がオレから早くお姉さんを遠ざけようとしてたって感じたのは。
気のせいだよな、まるで敵視するかのような瞳に見えたのは。

「本気じゃねーよな…」

パパって呼んで欲しいだなんて。




(田島姉・ハタチ前半のバツイチ子持ち。一度は手放した存在が傷ついて戻ってきたので田島としては何がなんでもこれからは自分の傍にと思っている…あれ?田島だけシリアス!?)


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