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□名前変換無
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「三橋、ミーティングの後付き合えよ」
「ごめん阿部 くん、今日は 駄目 なんだ」

たった一言づつのそのやり取りなのだが、周りにいた野球部一同はぐるりと皆揃ってそちらへ首を向けた。

「あの三橋が…」
「阿部の誘いを…」
「断った…!?」

周りも周りだが、断られた阿部本人も驚いている様子。

「今日は 行く所が ある んだ!」
「そ、そうなのか…」

うひっと笑った三橋に阿部がびくりとする。
それを見ていた田島と泉は確かに今日の三橋はご機嫌だったとか言い出した。

「昼休みなんかいきなり鼻血出したんだぜあいつ」
「あー、あれはビビッたよなーゲンミツに」

そんな話をしていれば百枝と志賀が現れて、早速ミーティングとなった。
それも話がすぐにまとまり、今日は日々の疲れを癒すようにという流れに。

「その前に今日は差し入れを貰ったから、食べてから帰ってねー」
「わーなんか良い匂い!」

百枝が箱をゴソゴソと取り出し、それを開けるとわっと歓声が上がる。
その箱に入っていたのは可愛らしいブリュレだったのだ。

「うまそー!モモカンこれどーしたの!?」
「貰ったんだよ、三橋さんに」

ガタン、立ち上がった三橋に目をやれば目を真ん丸く見開いて一点を見つめている。
その視線を辿れば柔らかな笑みを浮かべた可愛らしい女の人が戸口に立っていた。

「廉くん、ただいま」
「っ…!」

ダダッと駆けて三橋はその女の人に抱きついた。
彼女もまた笑みを浮かべたままその頭を撫でる。

「ミハシー!誰それ!何者ー!?」
「っちゃんは パ、パティシエ なんだ よっ!」

感極まっているのか最初の名前の部分が聞き取れなかったのだが、頬を染めてマウンドに立ったその時に見せるのと同じような笑顔に、今日の機嫌の良さの理由を理解した。
そんな三橋の嬉しそうな顔に笑って、百枝が口を開く。

「三橋さんはパティシエの修行で先日まで海外にいたんだって」
「三橋って事は、姉ちゃんって事か」
「そう だよ!」
「なぁなぁ、食べていい?」

どうぞと笑まれると皆でいただきますとブリュレを手に取る。
プラスチックのスプーンにこんもり乗せて頬張る者、少しづつ食べる者、可愛らしい美味しそうなそれに食べるのが勿体無いと色んな角度から見てみたり写メに収める者、様々ながらもブリュレは量を減らしていく。

「カントク 今日帰って も…」
「あ、いいよ。また明日ね!」
「百枝さん、これからも廉くんの事宜しくお願いします」
「いえ、今日もわざわざありがとうございます!」

そんな挨拶をして三橋達が廊下へと出て行ってしまった。
三橋は食べてないぞと田島が後を追おうとするとそれを百枝が止める。

「三橋君はこれから食べに行くからいいんだよ」
「どーゆー事?」
「お店が完成したんだって」
「おぉっ!!」

すげぇ!盛り上がり始める一同。
ごちそうさまでしたと口にした篠岡は空になったケーキの箱をたたみながらそういえばと呟く。

「ケーキ貰った時にお店遠いんですかって聞いたら結構近いって言ってたよ」
「マジで!?」
「明日どこか教えてもらおー!ねー栄口!」
「そうだね」

口の中に広がるブリュレの甘さと共に、にんまり二人は幸せそうに笑ったのだった。



(三橋姉・三星で頑張ってる頃海外で修行して頑張ってたお姉ちゃん。普段の呼び方は名前+ちゃんなので名前変換ありにしたら呼ばせたい。)

 
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