蒼き月の下に

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「不二先輩、知ってたんスか?」


紗弥が部室を出て行ったあと、部室には僕、手塚、越前が残っていた

さっきの僕の言葉に驚いたのか、越前が僕に訊いてくる



「さっき紗弥から聞いたよ
 全部、ね」

「先輩達は・・信じたんスか?紗弥先輩のこと・・・」




最初、僕も少し疑ってしまったことは事実

けど彼女の顔を見ると、そんな疑惑は吹っ飛んだ

ドリンクをかけた、なんて顔、していなくて、とても辛そうだった

無実の罪で責め立てられていたんだ、無理もないだろう




「切原を信じているのは、俺と不二、それから越前、だけだろうな・・
 とはいうものの、俺も少し疑いそうになったのは事実だ」

「紗弥の言う通りなのかもしれないね
 今まで信じていたからこそ、疑惑の種は大きくなる」

「でも、本当に先輩はやってないッスよ」

「そう、やっているところを見た人はいない
 だけど・・やっていないところを見た人もいないからね
 ドリンクを自分で頭からかぶるなんて、そんなことする人はいない
 そう思うのは普通のことだ
 だからこそ、葛城さん・・だっけ?彼女と一緒にいた紗弥が疑われている・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「それに加えて葛城は泣いていた
 だからこそ葛城を信じる要素も増えた、というわけか」

「それもあるだろうね」





厄介なことになった

本当に、厄介なことに



どうにかしないと、青学テニス部が崩壊する

でも僕たちはもう高等部だから、易々と手は出せない





「(どうするか・・・・)」

「俺たちが手を出しても、おそらく解決はしないだろう」

「うん、しないだろうね」






さて、どうするか









バンッ!



「「「!?」」」





考え込んでいるところに飛び込んできたのは、頭から濡れた紗弥だった




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