蒼き月の下に
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ガラッ
「紗弥!!!!!」
「こら!病室では静かに!」
「っ・・、すんません、」
点滴交換の最中だったのか、中には母さんと看護師さんがいて、怒られてしまった
でももうすでに交換は終わった後だったらしく、看護師さんは病室を出て行った
「母さん、紗弥は・・・」
「容体は安定してきてる、って言ってた」
「そっ・・か、」
俺はベッドの側の椅子に座り、紗弥の手を握った
「・・・紗弥、俺ら、関東大会優勝したんだぜ
お前をこんなにした青学を・・ぶちのめすことはできなかったけどよ
なあ、聞いてんのかよ、紗弥・・・」
すぐに目を覚ましそうなのに
ただ眠っているだけのように見えるのに
「おい、早く目ェ覚ませよ、紗弥
一緒にテニスしようぜ
早く腕治して、よ、なあ、紗弥」
何の反応も示さない紗弥の手を、より一層強く握る
「なんで返事しねえんだよ・・っ・・
返事しろよっ・・・俺の事、赤也、って呼べよ
なあ・・・・紗弥っ・・・!」
涙が溢れそうになり、顔を、握っている手にうずめた
その時
今まで何の反応もなかった紗弥の手が
かすかに動いた
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