蒼き月の下に
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「・・もしもし、不二さんッスか?」
[ああ、切原くん、どうしたんだい?]
「紗弥の目が覚めたッス」
[!?
本当なのかい?]
「ッス」
[すぐ行くよ!
・・・って言いたいところだけど・・そろそろ面会時間終わるよね・・?]
「あっ・・・・」
[また日を改めて行くよ
みんなに知らせておく
ありがとう、知らせてくれて]
「ッス」
ピッ
俺は不二さんとそれだけ交わすと電話を切った
「今日は、・・ありがとうございました」
「気にするな、赤也」
「不二達は来るのか?」
「面会時間に間に合いそうにないから日を改めるらしいッス」
「そうか」
ふう、と幸村先輩がひとつ息をつく
全員がホッとしたような表情をしている
もちろん俺も例外じゃねえけど
「早く・・人を信じられるようになってほしいね」
「そうだな・・、紗弥が俺達を見た時、一瞬紗弥の目に映ったのは恐怖だった」
「柳・・よく見てたな、お前」
「そうだったな、本当に一瞬だけだったがな」
「真田も見てたのかよぃ」
越前リョーマ達の言うことが本当なら・・・、
時間がかかるかもしれねえ、
紗弥が、元のように笑えるようになるまで
「とりあえず、帰ろうか」
「そうッスね」
「あれ、赤也、君のお母さんは・・」
「ああ、先に帰るって言ってたッス」
「そうか・・、じゃあ、帰ろうか」
「そうだな」
「ッス」
早く、紗弥の元気に笑った姿が見れるように
そう願いながら、俺達は帰路についた
.