駄文庫(短編)

□FUSHIDARA100%
1ページ/4ページ


いつまでそうやって隠してるつもり?










「アスラン、セックスしよっか」

そこは士官室。つまり、アスランの自室。
トリィの動きがぎこちなくなってしまったので、直してもらおうと、キラは一通りの会議を終えた後、訪ねていた。
カチャカチャと手際の良い音を立てて作業を進めていたアスランの手が、ピタリと止まった。

「…は?」
「だから、セックスしようって、言ってるの」

目の前には分解されてしまったトリィ。それを直してくれと言ったのはキラで。
18にもなって、未だ自分のあげたものを大切に持ってくれている彼が、悲しそうな顔でそう頼むものだから、皆が寝静まった後でも、こうして修理しているわけなのだが。
キラの言葉と、今の自分のデスクの上と見比べながら、全く以て結びつかない事象にアスランは困惑する。
椅子ごと、後ろに立っているキラへ向き直ると、キラはさっきまでと何ら変わらない、落ち着いた表情でアスランを見ている。

「何なんだ、いきなり」
「何回も言わせないでよ。だからセッ…」
「あーあーあー!!いい!言わなくていい!」

普段、あまり大っぴらに口にしない単語を、簡単に口にしようとするキラを、あわてて塞ぐ。
口を塞がれたキラは、顔を歪め、アスランを睨んだ。
なんだって、こんな時にそんなことを言うのだ。
確かにここにはアスランとキラしかいないし、他に誰か聞いているわけでもないだろうが、音となって響くと、やけにリアルに感じて気恥ずかしい。

暫くもごもご言っていたキラだったが、何も言わなくなったのを見計らって、アスランはキラの口から手を外した。
キラは変わらずアスランを睨んでいて、そんな彼に動揺を隠せない。

「おまえが直してくれって言ったから、今こうしてトリィを直してるんだろ。それを何なんだ」

昔から固い話の苦手なキラのことだ、何時間も続いた会議で疲れているだろう。
自分は割と慣れているけれど、『明日までに直しておくから』との自分の申し出に「直るまで待ってる」と言ったキラを見て、よほど早く直して欲しいのだろうと取り掛かったのだ。
それをいきなり。

「うん、トリィは早く直して欲しいよ。これは僕のお願い。
 でも、セックスはアスランのお願いだから、聞いてあげるって、言ってるの」
「え?」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ