○book○
□『芸恋』
雨音
(白鳥隼人)
1ページ/3ページ
サー……
「ん…」
ポツン、ポツン…
雨音が聞こえて目が覚めた。
横では隼人がまだ眠っている。
起こさないようゆっくり起き上がり、窓の外を見る。
案の定、外では雨が降っていた。
どんよりと厚い雲。
朝なのに薄暗い空。
部屋の中にいても感じる湿気。
雨なんていつもは嫌いなのに、今日はなぜか雨の日を感じてみたくなった。
雨音に起こされたせいかな。
そんなことを思いつつすばやく着替えを済ませると、念の為隼人に置手紙をして外に出た。
.